本日(12月2日)、令和6年第4回坂城町議会定例会が開会しました。以下に、招集のあいさつを掲載させていただきます。
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本日ここに、令和6年 第4回 坂城町議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様のご出席をいただき開会できますことに心から感謝を申し上げます。
さて、10月下旬から11月上旬にかけ、日本とアメリカでは、それぞれの国のかじ取りを決める重要な選挙が行われました。
まず、10月27日に行われました衆議院議員総選挙では、与党が選挙前の279議席から215議席へと大きく議席を減らし、小選挙区と比例代表を合わせた過半数の233議席を下回る結果となりました。与党が過半数を割り込むのは政権交代のあった2009年以来とのことであります。選挙後の11月11日に召集された特別国会では、石破総理が再度、内閣総理大臣に指名され、第2次石破内閣が発足したところでありますが、衆議院で与野党の勢力が逆転する中、今後の政権運営が注目されるところであります。
また、11月5日に行われましたアメリカ大統領選挙では、アメリカ・ファーストを掲げる共和党のトランプ前大統領が民主党のハリス副大統領に勝利し、再び大統領の座に就くこととなり、アメリカの株式市場ではトランプ相場が席巻するなど、早速その影響力の大きさを示しているところであります。加えて、トランプ氏は輸入品への関税強化など保護主義的な政策に言及している他、地球温暖化対策やロシア、ウクライナへの対応など、今後の動向について十分に注視していく必要があると考えているところであります。
このように、国内外の情勢が大きく変化する中ではありますが、人口減少 や 少子高齢化対策、物価高騰 や 頻発する災害への対応など、我が国が対応すべき喫緊の課題は変わるわけではありません。国におきましては現下の状況を踏まえた適切な政策の実行を期待するところでありますが、町としましても引き続き、国や県とも連携を図る中で、山積する課題への対応を着実に進めてまいりたいと考えているところであります。
一方、こうした政治情勢の変化が経済にどのような影響を及ぼすかは不透明な状況でありますが、日本総研などによりますと、アメリカでは、7~9月期の個人消費が前期比年率プラス3.7%と堅調ではあるものの、物価高や高金利の影響で低所得者層の消費が弱まるとされております。更に、トランプ次期大統領が対中関税を引き上げた場合は物価上昇による個人消費の下押しにつながり、報復関税などの対抗措置があれば対中輸出の減少で景気が下押しされる恐れもあり、景気の振れ幅が大きい不安定な状況になると見込んでおります。
また、ヨーロッパにおきましては、ユーロ圏、英国とも実質GDP成長率はプラス成長を維持しており、個人消費の増加とともに景気は緩やかに回復する見通しとなっております。一方、トランプ次期大統領が掲げる関税賦課等の公約が実現すれば、欧州経済に大きな影響を与えるとともに、NATO加盟国への防衛費負担の拡大も求めており、各国は更なる支出増を余儀なくされる可能性もあるとしております。
一方、中国におきましては、国内の不動産投資やインフラ投資が伸び悩み、個人消費も力強さを欠いていることで、景気は引き続き弱い動きとなっており、企業の景況感も悪化方向との分析であります。輸出についても、先行きは減速が予測され、外資企業の対中投資は引き続き減少する見込みとされております。
次に、国内の状況でありますが、内閣府による11月の「月例経済報告」では、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」としており、先行きについては、「雇用・所得環境の改善等で、緩やかな回復の継続が期待される一方、欧米の高金利水準や中国の不動産市場の停滞など、海外景気の下振れが 景気の下押しリスクとなっている他、物価上昇やアメリカの今後の政策動向、中東情勢、金融資本市場の変動等に十分注意する必要がある。」としております。
また、日銀松本支店が11月に発表した「長野県の金融経済動向」によりますと、設備投資は堅調に推移し、個人消費は緩やかに増加している一方、住宅投資と公共投資については横ばい圏内の動きとしており、総論として「長野県経済は、持ち直している。」としております。
当町におきましては、10月に実施いたしました町内の主な製造業20社の7~9月期 経営状況調査の結果では、生産量は、3ヶ月前の比較でプラスとした企業が5社から8社に増加しております。一方、売上げにつきましては、プラスとした企業は8社から7社に減少したものの、3か月後の生産量、売上げにつきましては、いずれも上昇が見込まれており、内閣府の報告にあるように、回復基調にあることが伺えるところであります。
また、来春(令和7年4月)の雇用につきましては、12社が増員予定で、5社が減員分の補充等を予定するなど、全体では101人の増員予定となっております。国内外の政治情勢が変化を迎える中、町内企業の皆様には、経済動向に注意を払いつつ、更なる事業の拡大と発展に期待するところであります。
さて、町の第6次長期総合計画に定める主要施策を具体的に推進するため、去る11月19日、実施計画策定懇話会を開催し、令和7年度から9年度までの事務事業を取りまとめた実施計画案について、町内外の様々な分野の皆様からご意見をいただいたところであります。実施計画案につきましては、今後の予算編成作業において更に精査をし、町の財政状況や予算との整合を図る中で、年度末の計画策定に向け進めてまいります。
また、町人口ビジョンに掲げる人口の将来展望を実現するための「第2期 坂城町まち・ひと・しごと 創生総合戦略」に基づく令和5年度事業につきましては、9月下旬から10月下旬にかけて、外部委員による検証委員会において検証をいただき、概ね一定以上の事業効果が認められるとの評価をいただきました。評価結果につきましては、年内に町ホームページで公表してまいりたいと考えております。
こうした中、町の大きな取組の一つであります、新複合施設建設事業につきましては、基本設計のプロポーザル案に基づき、10月から11月にかけ、建設委員さんにもご参加いただく中で、各分野の施設利用者や担当職員を対象としたワークショップを行い、部屋の間取りや配置、施設利用上の課題や必要設備などについて意見交換を進めてまいりました。今月予定しております建設委員会では、これらの意見集約と、図面や模型による視覚的な要素も加え、基本設計の素案としてイメージを共有してまいりたいと考えております。
次に、町のDX推進に向けた取組といたしまして、今年度進めております国の「デジタル田園都市 国家構想交付金」を活用した3事業のうち、「公共施設予約システム」及び「書かない窓口」につきましては、既にサービスを開始し、町民の皆さんにご利用をいただいているところであります。今後、利用者のご意見も伺い、更なるサービスの向上に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
また、「観光・文化デジタル化事業」につきましては、来年1月の運用開始に向け準備を進めいているところであり、この事業が町の観光・文化の振興と賑わいの創出に繋がるよう、開始にあたりましては、広報や町ホームページ等を通じ広くお知らせしてまいりたいと考えております。
この他、9月定例会以降の主な事業の進捗状況等について申し上げます。
コロナ禍以前から計画をしておりました、町とポーランドツェレスティヌフ郡とのフレンドシップ協定につきしては、双方の国際交流協会を加えた4者協定として、10月9日から14日の日程で、町 及び 町議会 並びに 町国際交流協会の代表者が現地を訪問し、在ポーランド日本国大使館において、「フレンドシップ協定に関する合意書」に調印を行ってまいりました。この協定は、お互いの文化、経済、教育をはじめとする様々な分野での交流の第一歩であります。先月21日には、ポーランド訪問の報告会を開催し、訪問時の様子とともに、これまでの交流の経過などについても、情報の共有を行ったところであります。今後におきましても、交流を通じて 更なる相互発展と友好関係を築けるよう 取り組んでまいりたいと考えております。
さて、令和4年度から見直し作業を進めておりました「農業振興地域整備計画」につきましては、先般、県との事前協議が整ったことから、現在、計画案の公告・縦覧を行っており、今後、県との本協議を経て、年度内に計画策定の予定としております。
また、水道事業の広域化につきましては、本年4月に設置された「上田長野地域 水道事業 広域化協議会」において、水道事業の現状や課題の分析に加え、広域化による様々な観点での事業効果を研究し、「上田長野地域 水道事業広域化 基本計画」の素案を取りまとめたところであります。今後、町民の皆様からご意見などを伺いながら基本計画の策定に向けて 協議を進めてまいります。
次に、国道18号バイパスの整備促進についてでありますが、10月4日に、滝沢議長さんとともに、千曲、長野、上田の3市と合同で「新国道 上田篠ノ井間 建設促進期成同盟会」として、県選出の国会議員 及び 国土交通省、財務省に対し、上田篠ノ井バイパスの早期完成に向けた要望を行ってまいりました。地域住民の皆さんの思いを繋ぐ国道バイパスの早期整備に向け、引き続き機会を捉え要望をしてまいりたいと考えております。
続きまして、葛尾組合の新リサイクルセンター建設事業の状況でありますが、10月には、大型クレーンにより煙突上部の解体が完了し、現在はピットの壁や 焼却炉の一部など、内部の解体を進めているところであります。引き続き、葛尾組合 及び 千曲市と連携を図りながら、新施設の建設を着実に進めるとともに、適正なごみ処理システム 及び リサイクルシステムの構築を図ってまいります。
一方、葬祭施設におきましては、本日よりWEB予約システムの稼働を開始し、24時間を通じ 施設の空き状況の確認や 予約を受けられる体制となり、利便性の向上と事務の省力化につなげてまいりたいと考えているところであります。
また、本日より、医療機関の受診などに必要となります健康保険証が、マイナ保険証を基本とした体制に移行いたします。国民健康保険及び 後期高齢者医療保険 の保険証は、有効期限の来年の7月末までご使用いただけますが、万が一、期間内に保険証を紛失されても、引き続き医療が受けられるよう「資格確認書」を交付することとしているところであります。
さて、猛烈な暑さが一段落した10月以降、町内でも様々なイベントが実施されました。
10月5日は、鼠橋運動公園マレットゴルフ場で「秋のスポーツ大会」が行われました。町民運動会に代わる試みとして初めて実施した大会には、28チーム109名の町民の皆さんが参加され、マレットゴルフを楽しみながら、交流や親睦を深めていただけたものと思っております。
また、10月13日には、坂城駅前多目的広場を主会場に、恒例の「鉄道フェスタinさかき」が行われ、169系電車を開放しての記念撮影や 昔懐かしいボンネットバスでの町内周遊など、町内外から大勢の来場者で賑わい、町の魅力を町内外に発信する機会となったものと思っているところであります。
また、10月26日には、東京 麹町において東京坂城会の総会が開催されました。坂城町にルーツを持つ皆様が、町を離れた後も、誇りを持って故郷・坂城を語っていただけるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
さて、10月26日、27日の2日間にわたり開催されました「第52回文化祭」につきましては、耐震補強・大規模改修が完了した文化センターと町体育館の両施設と、文化の館を会場とする従来の形態に戻り、体育館では書道や写真など31団体、884作品が展示され、843名の皆さんが鑑賞された他、文化の館のお茶席には101名の方が来訪されました。また、2日目の芸能公演には21団体、270名の皆さんが出演され、日頃の練習の成果を存分に発揮されていました。
また、文化祭の開祭式に先立ち、議員各位にもご列席いただく中で挙行いたしました「町表彰式」では、これまで長年にわたり、各分野において地方自治の振興と町の発展にご尽力いただいた皆様を表彰し、「功労表彰」を1名の方に、「功績表彰」を11名の方々に贈呈させていただきました。
併せて、ものづくりの分野における優秀な技能者、新技術を創出された方々を表彰する「坂城WAZAパワーアップ事業表彰」として、「卓越技能者表彰」を2名の方に、「優秀技能者表彰」を1名の方に贈呈させていただいたところであります。
受章された皆様のこれまでのご尽力に改めて感謝申し上げますとともに、町発展に向けて、今後も一層のご指導とお力添えをお願いするところであります。
なお、10月25日には、長野経済研究所と信越放送が主催し、地域に根差した製造業を顕彰する「ものづくり大賞NAGANO」の表彰が行われ、公益財団法人 さかきテクノセンターが特別賞を受賞されました。同センターが設立以来、30年の長きにわたり継続してきた様々な企業支援の取組が評価されたものと伺っております。同センターでは現在、建物のNearly ZEB化の改修工事が進められており、ものづくりのまちのカーボンニュートラルのけん引役になることを期待するところであります。
さて、郷土の勇将・村上義清公が没後450年を迎えたことから、その功績を再確認し、町の魅力の一つとして広く発信するため、文化祭に合わせて開催しました「信濃村上氏フォーラム~語り継ぐ村上義清~」には、町内外から約170名の皆様にご参加いただきました。長野県立大学の二本松泰子教授と 県立歴史館文化財指導主事の花岡康隆さんの講演に続き、県立歴史館特別館長の笹本正治さんにコーディネーターをお務めいただいたパネルディスカッションでは、講演会講師のお二人に、葛尾城跡 保存会顧問の田原茂樹さんにも加わっていただき、様々な視点での意見が交わされ、参加された皆さんは熱心に耳を傾けておられました。
また、11月7日には、文化センターにおいて「戦没者追悼式」を挙行いたしました。今年は、核兵器のない世界を実現するための努力が認められ、日本では50年ぶりの受賞となるノーベル平和賞に日本原水爆 被害者団体協議会が選ばれましたが、町でも、追悼式を通じ、不戦と平和への誓いを新たにしたところであります。
次に、先月9日に文化センターにおいて開催されました「女と男ふれあいさかき2024」では、「男女共同参画で高める地域防災力」をテーマとして、日本防災士会 長野県支部長の大久保隆志さんを講師に、「能登半島地震から考える、私たちにできること~避難所の多様性・まちづくりへ向けて~」と題した講演が行われ、男女共同参画の視点で地域防災力をどう高めていくのか、大変有意義なお話をお聞かせいただきました。
一方、同日に開催を予定しておりました「ねずみ大根まつり」につきましては、この夏の記録的な暑さや病害虫の影響による成育不良により、十分な収穫量が確保できないことから、昨年度に続き、やむなく中止としたところであります。来年度は是非開催できるよう、播種の時期や病害虫対策などについて、県やJAなどの関係機関と研究してまいりたいと考えております。
また、今月7日には、文化センターにおいて「人権を尊重し 豊かな福祉の心を育む 町民集会」を開催いたします。明後日からの人権週間に合わせた 啓発活動の一環として毎年開催しているもので、今年は村上小学校児童による人権学習の発表と、劇団 新制作座の皆さんによる舞台劇「泥かぶら」を、村上小学校4年生の児童も参加し、公演いただく予定となっております。大勢の皆様にご来場いただければと思っております。
さて、12月に入り、本格的な冬の到来を迎えます。町では、凍結 や降雪時の主要道路の安全確保を図るため、融雪剤散布と除雪に係る委託契約に向け、町内建設業者等との事前協議を行ったところであります。特に、積雪が概ね10㎝以上となった場合につきましては、委託業者と連携を図り、迅速に除雪作業等を実施してまいりたいと考えております。
続きまして、12月補正予算の主な内容について申し上げます。
まず、歳入につきましては、土地や建物、株式等の譲渡に係る所得の増加が見込まれることから、個人町民税について1億3千万円を、また、一部企業の売り上げの増加や円安による影響等で企業業績が好調に推移したことなどで、増収が見込まれる法人町民税について2億円を、それぞれ増額計上したところであります。この他、障がい者への法定のサービス給付に係る負担金など、事業の執行状況に応じ国 及び 県の支出金などを増額するとともに、財政調整基金からの繰入金について減額いたしております。
一方、歳出につきましては、令和5年度の精算額確定に伴う後期高齢者医療 給付費負担金や、事業の執行状況を踏まえて 障がい者の法定サービスとなる介護・訓練等給付費 及び 障がい児通所等給付費を増額している他、令和7年度の中学校教科書改訂に伴う教員用指導書等の購入費、個人住民税等に係る税償還金、自治体システムの標準化に伴う税及び健康保険、介護保険の帳票様式の変更に係る経費など、各種事業における所要の経費を計上いたしております。また、町民税の増額を受け、新複合施設の建設に備える 保健福祉等 複合施設整備基金 への積立金1億8千万円につきましても、計上いたしたところであります。
以上、令和6年度の主な事業の進捗状況 及び 12月補正予算の主な内容について申し上げました。
今議会に審議をお願いする案件は、専決報告が3件、条例の制定が1件、一部改正が1件、町道路線の変更が1件、一般会計補正予算 及び 国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計 補正予算の 計10件でございます。
よろしくご審議を賜り、ご決定いただきますようお願い申し上げまして、招集のあいさつとさせていただきます。
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坂城町長 山村ひろし