第13回TOPOS(トポス)会議

本日(5月30日)、六本木ヒルズで、国際会議、第13回TOPOS会議が開催され私も参加しました。

今まで、野中郁次郎名誉教授、紺野登教授を中心に12回にわたり議論を展開してきました。

今回は、ある意味では原点に戻り、”人間性” にスポットをあてて議論されました。

最近の政治、経済、社会、教育、全てに共通しているのはこの、”人間性” についての問題ではないでしょうか。

以下、ご覧ください。

今回のテーマは、「~ヒューマニティ・ベースト・ビューから考える:人間不在の日本の ”人間性” を問い直す~」 という大変大きなテーマでした。

いくつかのキーになるなコメントを以下記します。

● ヘンリーミンツバーグ(マギル大学教授) :

世界の中で”人間性”が求められている。 子どもは人間性が高く、Communityship (コミュニティーシップ)がより求められている。 *Communityship はミンツバーグが使い始めた造語。

● 加護野忠雄(神戸大名誉教授) :

日本の企業は多くがコミュニティーを持っていたが、現在は崩壊の危機にある。多くが外国資本の影響を受け短期的な目標を追い求める会社と成ってしまった。SDGsなどで新たな目標を選び、コミュニティー化を図ることも大切。

● 野中郁次郎(一橋大学教授 TOPOS会議発起人) :

コミュニティーを形成するには、「共感」が必要である。「共感」を持つには、「文脈力」が必要である。 人は非言語的な暗黙知、身体的な共振、共感、共鳴によって察知する。これらの関係を察知し新たな関係を補完したり、転換したり、創発されたりする力を「文脈力」という。他者の心の中で何が起こっているのかを予測し、その意味を総合的に解釈する、こうした働きを適時かつ適切に行えるのが文脈力のある人と言える。

主催者のメッセージは以下の通りです。

≪いまの日本企業を見ると、ずいぶん前から「人間不在」「人間性軽視」が常態化していないだろうか。かつては日本企業を範としていた、あるグローバル企業のCEOは、こんな苦言を呈している。「いつの間にか、人間を大切にする経営から、利益や効率ばかりを考える経営に変わってしまった」。

そこで、脱機械論・人間中心の経営を訴えてきたマギル大学教授のヘンリー・ミンツバーグ氏を招聘し、神戸大学名誉教授の加護野忠男氏、そして代表発起人の野中郁次郎の3人が、コミュニティシップ、プルーラルセクター、共感といったコンセプトを交えながら、人間・人間性を大切にする経営、さらには経営の普遍性について議論する。

人工知能(AI)やロボットにまつわる議論では、自動化による人件費の削減、それに伴う労働生産性の向上といった効率主義が強調されており、AIと人間、ロボットと人間の新たな共存関係や共進化についてはなおざりにされている。これらの問題について、人間中心の社会デザインを考えるIT/AIの研究家にして実業家、免疫を研究する生命学者にして実業家、そして義足のアスリートが健常者のチャンピオンよりも速く走るという目標を掲げる義足エンジニア、といった賢慮の実践者たちと一緒に考える。

病院経営者、グローバル企業のダイバーシティ担当役員など、リアルな実践者たちを招いて、人間中心・人間性重視の実践知について、あらためて議論の場を設ける。そこでは、人間尊重を起点とした多元的なオープン・コラボレーション、人間性と経済性を両立しうるソーシャル・エンタープライズといったトピックが浮上してくる。

以上のように、第13回トポス会議では、「人間性の視点」、言わばヒューマニティ・ベースト・ビューから、経営やビジネス、コミュニティや社会の行方について考える。≫

● セッション1:経営における人間性

● セッション2:技術における人間性

● セッション3:コミュニティにおける人間性

● 総括 : 野中郁次郎名誉教授

登壇者 : 遠藤 謙(Xiborg 社長)、井上 浄(リバネスCTO)、加護野忠男(神戸大名誉教授)、亀田信介(亀田総合病院院長)、松田雄馬(アイキュベータ代表)、ヘンリー・ミンツバーグ(マギル大学区教授)、中里悠里(富士通研究所AI研究員)、バーバラ・ワイ(インテルVP)、カトリーヌ・マラブー(キングストン大学教授)、都筑沙矢香(キャスター)、紺野登(多摩大学教授 TOPOS会議発起人)、野中郁次郎(一橋大学教授 TOPOS会議発起人)

▼左:野中郁次郎先生

坂城町長 山村ひろし

第12回トポス会議

昨日(5月31日)、六本木ヒルズで、第12回トポス会議が開催されました。

今回のテーマは、「社会への満足度と幸福度を高める ”オルタナティブ創造社会への挑戦」 です。

世界各地からこの分野の最先端の知見と実践知を持たれるそうそうたる方々の議論は行政にとっても大変有意義なものと感じました。

以下、共同発起人の野中郁次郎先生と紺野登先生のメッセージを掲載します。

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野中郁次郎 トポス会議代表発起人 一橋大学名誉教授

二項対立から二項動態へ

 今回のトボス会議は「オルタナティブ創造社会への挑戦」をテーマとして掲げた。通常、オルタナティブは「二者択ーの」「代替の」などと訳される。企業経営、組織運営において日々直面するさまざまな矛盾、「アナログとデジタル」、「アートとサイエンス」、「安定と変化」、「人間とAl」などは、「あれか、これか(either/or)」で論じられることが多い。しかし、一見相反しているかに見える二つの概念を二項対立(dualism)としてとらえるのではなく、それを乗り越える思考の実践が重要だ。一見矛盾する考え方や手法、要素は相互補完関係にあり、二つの要素が一つの事象に共存しうる。これらを状況や自的に合うようにうまく組み合わせ両方の利点を生かし新しい価値を見出す創造的思考が重要である。

このいわば「二項動態(dynamic duality)的思考」の実践には、矛盾する要素間の関係性における本質に対する深い洞察が必要だ。現実をデジタル的に白か黒かで見るのではなく、アナログ的に白と黒の両極の連続的なグラデーションとして捉え、両極を総合する勘どころを洞察するのである。また、変化する状況や文脈に合わせて、二つの要素の「動的均衡」を探り続けることが重要である。そして、闘争を通じて他項を排除する「死」の弁証法ではなく、対話を通じて中庸を探っていく「生」の思考でなければならない。

対立項が競い合いつつも両立し、個を貫きつつ全体の調和をダイナミックに追及する「あれもこれも(both/and)」の二項動態的思考が、危機に対峙する社会、そして我々一人ひとりの生き方に求められるのではないか。

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紺野 登 多摩川大学大学院教授

「オルタナティブ」とは、伝統や確立された制度や思想に対する選択肢、代替の道のことである。「トポス会議」ではこれまで何回かオルタナティブなテーマをとりあげている。「シンギュラリティ」つまり知性のオルタナティブ。ポスト資本主義など経済のオルタナテイプ、「エイジング2.0」あるいはヒューマン・エンハンスメント(人間拡張)すなわちオルタナティブな人間。生圏倫理学(エコエチカ)、脱・一極集中、グローバルシティ、「リビング・ラボ」などオルタナティブな環境や都市のあり方である(「過去のトポス会議」より)。しかし、この数年の大きな世界情勢変化の中で、オルタナティブに正面から向かい合う要請が生まれてきたように思われる。

フランスの経済学者トマ ピケティの「2 1 世紀の資本」 (2013)は、資本主義の格差拡大論争を世界中に巻き起こした。そこで、ピケティは社会主義者か、といった問いが少なかからずあったようだが、彼は資本主義が生み出す格差を問題にしたにすぎなかった。資本主義対社会主義、などというが、社会主義であっても格差は存在する。実は、両者は本質的に対立した概念ではなく、市場主導か国家主導の貢本主義かの違いでしかない。ところがこれらが対立概念や選択肢として捉えられて論争が起きる。しかしそこから答えはでてこない。その時これらのいずれでもない道を探ろうとするのが「オルタナティブ」だといえる。

市場が支配するのでも国家が支配するのでもない、とすれば、その一つのオルタナティブは人間や環境主導の資本主義であろう。1970年代頃から生まれた「エコロジー運動」は、これらの対立軸にこだわらない、人間と自然環境との共生や直接民主主義を主張した。西ドイツ(当時)の「緑の党」運動は、それが政治的な活動に繋がったものだ。SNSの広がりやブロックチェーンなどの技術は次の社会・経済システムを暗示しているようにも見える。

しかし、一方でこれまでオルタナティブはサブカルチャーと同義の「いかがわしさ」をまとっていた存在だった。オルタナティブ・ファッション、カルチャー、音楽(ロック)などは、時代の流れや商業主義にとらわれない前衛やアンダーグラウンドな文化を代表していた。他方、オルタナティブな教育、民間療法などを含む代替医療は、現在の制度やシステムを補完したり、共存を目指したりすものだった。いすれにせよ、それらは「中心」に対しての「周縁」に位図し、常に中心に向かって、刺激や圧力を与える存在だった。あるいは、代替エネルギーや代替技術、代替労働(多様な働き方)のように、従来の社会システムを根底から変化させつつ「持続可能性」を追求しようとする「外野」がオルタナテイプの真骨頂だった。

ところが、ここ数年の政治的・経済的・技術的な世界情勢の変化は、我々に本質的な解決や社会的イノペーションを、こうしたオルタナティブな道に求めさせるようになったといえる。それはこれまでの「オフィシャルな」未来に対する完全なアンチテーゼである。背景には政治や企業への信頼の低下現象がある。また、人工知能の台頭によって、知性そのもののオルタナティブなあり方を議論せざるをえないようになった。科学もその存在を問われるようになった。従来とは異なる思考の枠組みでの実践、価値観の逆転が起きている。月並みな表現だが「パラダイム・シフト」が現実化しているのである。もちろん、ただ一つのオルタナティブなど存在しない。多様なオルタナティブのパージョンがありえるだろう。

今回のトポス会議では、次の3つの切り口からオルタナティブを議論する。

 (1)オルタナティブな社会とはどんな社会だろう。ドイツの社会学者、ニクラス・ルーマンは、現代社会が階層的な構造ではなく、人々のコミュニケーションによって多層的なシステム群として形成されるという社会のモデルを提示して見せた。これは閉塞した既存の社会に対しての変革実践のための知見ともいえる。このモデルの類推から、社会におけるオルタナティブなあり方の具現化・実践には、個々の社会システムを超えて繋げるような機能を持った社会経済セクターの存在が求められる。

ヘンリー・ミンツパーグの「プルーラル・セクター」は、こうした新たな役割を担う組織体のモデルとして意味深い。従来の一業界、一企業、一省庁の戦略や政策には限界が訪れている。そこで、産官学民の相互参画を介して、社会・経済の「リパランシング」を図るのがプルーラル・セクターの役割である。デンマークの「オルタナティブ党」は、エコロジー運動の末裔ともいえる、現在の経済・社会の代替の道の確立を目指しているオルタナティブなセクターと言える。そこではフューチャーセンターやリピングラポなどの都市の「場」における、社会的、参画的な対話的実践が重要になる。その主役は当然ながら従来のシステムの保護者ではない、女性や若者、あるいはダイパーシティの垣根のない社会だろう。

 (2)オルタナティブな道の実践とは、いかにあるべきか。オルタナティブなイノベーションの実践とは既存の常識や制度に立ち向かっての新たなカテゴリーの創出であり、時として常識に挑むような生き方でもある。それは単純な「破壊的イノベーション」などでもない。個人の哲学や、長期的にわたる真剣な持続的努力が背後で求められる。彼らは、共通善や真実を追求しようとする、社会や文化のアントレプレナーである。それは企業のイノベーション、オルタナティブな社会システムの創出など、異なった分野にも共通している。

 (3)オルタナティブな経済がありえるなら、企業経営やイノベーションのオルタナティブとはどのようにあるべきか。今や、本業も全てイノベーションを軸にした経営の時代に入っている。既存の延長線にある経営の知には限界があると考える方が妥当だろう。既存の競争軸にはない、オルタナティブな戦略を考えねばならない。しかしそれはアイデンティティの喪失につながるかもしれない。逆に現在忘れられた伝統的な知の意味合いが高まるかもしれない。その場合、いすれにせよその最初の問いは、「一体自分たちは何のために存在しているのか」であろう。

多摩大学大学院教授

一般社団法人Japan Innovation Network代表理事

KIRO株式会社(Knowledge Innovation Research Office)代表

知的経営変革、ナレッジマネジメント、知識、産業における事業開発、デザイン経営戦略やリーダーシッブ・ブログラム、研究所などのワークプレイス戟略等実務に即した知識経営研究と実践を行う。

            

 

▼左:野中郁次郎先生と 右:Women Help Women 代表で女性による企業促進や、ソーシャル・ビジネスの普及に取り組まれている、西田治子さん。今回も素晴らしいお話をしていただきました。(西田さんには坂城町での講演会のお願いもしております。)

以下、トポス会議のプログラム、講演者について。

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第12回トポス会議

社会への満足度と幸福度を高める
オルタナティブ創造社会への挑戦

一般社団法人Future Center Alliance Japan(FCAJ)が実施した調査の結果では、「日本の社会に満足していない」と回答した人が何と76%に上り、逆に「満足している」という人は1.7%足らずであった。

こうした「社会への不満足度」の高まりは、アラブの春、オキュパイ・ウォールストリート、最近ではブレグジットや#MeTooなどの大衆運動として噴出するだけではない。最近では、現状を修正・改善・変革する「オルタナティブ」となって表れることが少なくない。それらは、概して自生的であり、「時代の要請」と呼ぶべきものである。

ビル・ゲイツが「既存の銀行は不要になる」と予言したように、ビットコインやブロックチェーンはまさしく世界的なオルタナティブである。このほか、政治、教育、医療、福祉、エネルギーなどの社会システムにおいて、多種多様なオルタナティブが登場している。一見、デジタル技術によって制約や限界から解放された結果のように見えるが、既存のシステムや手段への「異議申し立て」と理解すべきではないか。

オルタナティブとは、通常「既存とは異なる代替」を意味し、これまでは「アンチ」「ポスト」「少数派」などと表現されることが多かった。しかし現在では、敵対・対立でも脱でもなく、むしろ相互に影響を及ぼしながら修正や進化を促す「推進力」といえる。

その方向性はすでに示されている。事実、いま生まれつつあるオルタナティブの多くが、経済的繁栄よりも、民主的で共生的な社会やコミュニティを目指すものであり、それゆえにイノベーティブである。

オルタナティブが増えるほど、変革や進歩が加速され、同時に多様性や寛容性が高まる――。

これが、第12回トポス会議が投げかける「仮説」である。今回は、代表発起人の野中郁次郎、神戸大学名誉教授の加護野忠男氏、そしてマギル大学のヘンリー・ミンツバーグ氏の3人の賢慮によるクロストークを起点に、オルタナティブが大量に創造される社会のダイナミズムについて議論する。

プログラム

                     

講演者

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坂城町長 山村ひろし

第11回TOPOS(トポス)会議

先週(9月22日)東京六本木ヒルズで、第11回TOPOS(トポス)会議が開催されました。

今まで10回まで毎回参加していましたが、今回は坂城町議会の最終日と重なり残念ながら出席出来ませんでした。 私に代わり、坂城町企画政策課の田子謙介さんに参加してもらいました。

今回のテーマは 「21世紀にふさわしい日本的経営を構想する」 です。

また、議論の前提として、「日本企業にはイノベーションが求められる」 とし、その論点として 「イノベーションに適した経営システムは」 とです。

多くのパネラーが種々メッセージを発していますが、その中で、評論家中野剛志氏の講演内容のエッセンスを田子さんからお聞きしましたので、その内容を、以下、ご紹介します。

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「イノベーションとは未来という不確実性に向けて資源を動員することである」

言い換えると・・・・・

→ リスクが大きい(成功確立が低い)

→ 長い年月を要する(簡単には達成できない)

→ 大規模な資源を要する(ヒト・モノ・カネ)

⇒ 上記3点をクリアーしないとイノベーションは起きない。

一方で日本企業の考え方は・・・

→ 何かあたらしいものに着手しようとする場合、「期待される利益」 を定量的指標に基づいて示す必要がある

⇒ 最初の段階で定量的指標を示すことは不可(cf:未来という不確実性に向けて・・・)

→ 短期的な利益を追求し評価する傾向にある(ex:株式市場)

⇒ 長期的な取り組みが困難

つまり、日本企業はイノベーションを起こしにくい条件が整っている

イノベーションによりもたらされる効果は、スタートの段階では図れないものであるから、イノベーションを起こそうとするならば、その試みを正当化するために 「壮大な夢」 として利益以外の価値で図り(ex:難病治療)、それが社内で共感され(ex:価値観・信頼関係≒閉鎖的・硬直的な組織)、長期的な取組(長期雇用)として行うことが必要

また、会場内のアンケートで以下のような意見がまとめられた

「自分が経営者ならば、ROEよりもイノベーションを推進するように伝えられるか?」

回答は、

⇒ YES:約60%、 NO:約40%

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以下、主催者ホームページの案内文を掲載します。

21世紀にふさわしい日本的経営を構想する

第11回トポス会議

半世紀前の1968年、日本は敗戦直後の8倍強という経済成長を実現し、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になった。ここまで劇的な発展を遂げた国はいまだ世界的に例がなく、当時は「東洋の奇跡」(Japanese miracle)といわれた。

この歴史的成功は、初期こそ景気や為替などマクロ経済的要因の影響が大きかったが、中期以降は、いわゆる「日本的経営」という、日本独自のマネジメント・システムの賜物にほかならない。

しかしその後、それこそ日本的経営が得意とする継続的改善は、生産現場のレベルで留まり、マネジメントの改善・進化には至らなかった。むしろ、成功の罠とバブル崩壊後の自信喪失から日本的経営を否定し、アングロサクソン流の経営手法を安易に導入してしまった(一方、欧米企業は日本企業を虚心に研究し、その長所や強みを取り込み、マネジメントの幅と深さを増していった)。

21世紀にふさわしい日本的経営を構想する――。

第2ステージを迎えたトポス会議では、この挑戦をテーマに掲げ、戦後の成長とバブル後の停滞について、一貫した論理に基づいて再検証するとともに、新しい着想や萌芽的事例を紹介しながら、日本企業らしいマネジメント・イノベーションの姿について議論する。

日本企業の中に理想形を見出したピーター・ドラッカー、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者エズラ・ヴォーゲル、『ジャパニーズ・マネジメント』の著者リチャード・パスカルなど、アメリカの経営研究家たちはなぜ日本的経営を高く評価したのか。日本的経営のエートスは改善が主であり、イノベーションや変革は例外的だったのか(もちろんその限りではない)。日本的経営を進化させることで、日本企業はその可能性を覚醒させられるのではないか――。

世界的マネジメント・グールーの一人であるヘンリー・ミンツバーグ、『新・日本の時代』(Japan Remodeled)で日本の変化のパターンを示したスティーブン・ヴォーゲル、そしてヨーロッパ・ドラッカー・ソサイエティ理事長リチャード・ストラウブ、野中郁次郎とともに日本的経営の実際を観察・研究してきた加護野忠男などのフロニモス(賢人)たち、そしていままさに新しい日本的経営を創造しつつあるビジネス・エグゼクティブたちとの討議を通じて、目指すべき針路について考える。

13時20分~13時30分 プロローグ
13時30分~15時 セッション1: イノベーション経営の時代の日本的経営
15時~16時20分 セッション2: 日本的経営の根幹的価値観とシステム
16時20分~16時35分 休憩
16時35分~18時 セッション3:日本の社会の潜在力と企業
18時~18時30分 総括: 野中 郁次郎(一橋大学 名誉教授)
18時30分~20時30分 ネットワーキング・セッション

ジェローム・シュシャン
ジェローム・シュシャン氏-w3i-Chouchan

ゴディバ ジャパン株式会社

代表取締役社長

濱松 誠
濱松誠氏-w3i-hamamatsu

One JAPAN

共同発起人・代表

鎌田 由美子
鎌田由美子氏-w3i-kamata

カルビー株式会社

上級執行役員

工藤 禎子
工藤禎子氏-w3i-kudo

株式会社三井住友銀行

常務執行役員

中野 剛志
中野剛志氏-w3i-nakano

評論家

リチャード・ストラウブ
リチャード・ストラウブ氏-w3i-straub

ヨーロッパ・ピーター・ドラッカー・ソサイエティ

創設者兼理事長



グローバル・ピーター・ドラッカー・フォーラム

理事長

玉川 憲
玉川憲氏-w3i-tamagwa

株式会社ソラコム

代表取締役社長

スティーブン・K・ヴォーゲル
スティーブン・K・ヴォーゲル氏-w3i-vogel

カルフォルニア大学バークレー校

教授

藤野 道格
【ビデオ・メッセージ】
藤野道格氏-w3i-Fujino

ホンダ エアクラフト カンパニー

社長兼CEO

加護野 忠男
【ビデオ・メッセージ】
加護野忠男氏

神戸大学

名誉教授

ヘンリー・ミンツバーグ
【ビデオ・メッセージ】
ヘンリー・ミンツバーグ氏

カナダ マギル大学

教授

コーディネーター/総括

羽田 未蘭野
羽田未蘭野氏

キャスター

紺野 登
紺野登氏

多摩大学大学院教授

(トポス会議発起人)

野中 郁次郎
野中 郁次郎

一橋大学名誉教授

(トポス会議発起人

坂城町長 山村ひろし

第10回トポス会議

本日(6月30日)、第10回目のトポス会議が東京六本木ヒルズで開催されました。

このトポス会議は2012年から10回シリーズとして開催されましたので、今回が最終回となりました。 今回もお招きをいただき参加させていただきました。

ますますお元気な野中先生ともいろいろお話をしました。

4年前に坂城町でもご講演をお願いしましたが、来年、久々に坂城町でお話をしていただくお願いをいたしました。

今回は 「人類世の“ヒューマン・ビルディング”」と題し、次世代に向けた「人間形成」をテーマに、未来志向の人材育成や教育論に向けたある意味では壮大なテーマに取り組んでいます。

         

左から:山村、野中先生、前川正雄さん(和敬塾に関する話などすばらしい講演をお聞きしました。)

                               

以下、第10回トポス会議の趣旨など開催案内から抜粋します。

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【野中郁次郎×世界の賢人たち】

人類世の“ヒューマン・ビルディング”
― 「次世代を拓く人間」をいかに創造するか ―

第10回トポス会議

 

トポス会議は、2012年9月、多様な知のダイナミックなコラボレーションを起こす場として、全10回のシリーズとして始まりました。これまでの9回のトポス会議では、世界的な課題の解決に資する学際的な議論の奨励、産業人と研究者の知的協業や実践活動の支援、そして、そのための人的ネットワークの形成という趣旨に沿って、世界から賢者をお呼びし、対話を重ねてまいりました。コンピュータ科学の未来に始まり、社会やコミュニティにおけるイノベーション、安全保障、資本主義の未来など、これまで取り上げてきたテーマは、われわれ人類が21世紀をいかに賢く生きることができるか、そしていかに未来を創造し続けていくかを、多様な観点から問うものでした。
第10回の今回は、区切りにふさわしいテーマとして、「人類世の“ヒューマン・ビルディング”」と題し、次世代に向けた「人間形成」をテーマに、未来志向の人材育成や教育論に向けた対話を試みます。
「人類世」(じんるいせい:Anthropocene) は、われわれ人類の活動が地球の動的均衡システムを脅かしている状態にあることを示す言葉で、地球規模の危機の時代とも言われています。この危機を回避し、さらなる繁栄を実現するためには、地球レベルの高い視野を持って行動することが求められています。つまり、これまでトポス会議で議論してきたように、誰もが「実践知」を体現するリーダーとなり、共通善の実現に向けて日々共創することが重要になってきます。
これまでも実践知の基盤やその育成方法について触れてきましたが、節目となる第10回では、実践知と知識創造の第一歩となる「間身体性」や「相互主観性」について、日本における現象学の研究の第一人者のおひとりである哲学者の山口一郎氏をお招きし、トポス会議を主催する野中郁次郎との対話を通じて、人類の倫理性や道徳性、さらには情熱や信念の源泉について明らかにしていきます。
そして、この共創的セッションを踏まえた2つ目のセッションでは、「次世代を担う」あるいは「未来を拓く」人間を育てる環境、特に、社会的なつながりや企業での取り組みについて、ヨーロッパのリビング・ラボや、「定年のない会社」、「和敬塾」の取り組みで有名な前川製作所のご発表を通じて考えてまいります。
そして最後のセッションでは、人間の無限の可能性を広げるさまざまな取り組みについて、能のメソッド等を用いて自閉症児を支援する能楽師、既存の学校や企業の教育システムの限界を訴える教育学者、徒弟制度の意義を再発見した企業経営者などのみなさまからお話をいただき、最終回の最終セッションにふさわしく、われわれ人類が21世紀をいかに賢く生きることができるか、そしていかに未来を創造し続けていくかについて考えていきます。

(プログラム)

(パネリスト)

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坂城町長 山村ひろし

第9回TOPOS(トポス)会議

昨日(11月18日)、午後、六本木ヒルズで第9回TOPOS会議が開催され、全国町村長会議の後に参加しました。

このTOPOS会議は野中郁次郎一橋大学名誉教授が発起人となって始められた、世界的な錚々たる賢者を集めて年2回開催される「知の場」(TOPOS)です。

今回のテーマは 「都市のイノベーション」― 21世紀における都市の賢さを求めて ― です。

なかなか難しいテーマでしたが大変参考になりまいた。

主催者の開催主旨は以下の通りです。

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第9回トポス会議

2015年6月、グーグルは、都市イノベーションを専門とする「サイドウォーク・ラボ」、世界中の都市とそこに住む市民たちを結びつける「インターセクション」という、2つの新ビジネスを立ち上げた。

ラリー・ペイジいわく、「都市を改善することによって、何十億人という人々の生活を向上させられる」。彼らは、元ニューヨーク副市長のダニエル・ドクトロフをリーダーに迎え、まずニューヨーク市のイノベーションに取り組むという意気込みを見せている。

アメリカの市民活動家ジェイン・ジェイコブズは、経済の発展を先導するのは国家ではなく「都市」であると訴えた。それは、都市の持っている多様性こそ、需要の創出、新しい製品やサービスの開発、雇用の創造の源泉だからである。こうした「都市の生み出す力」(いわゆる「ジェイコブズ効果」)を引き出すには、行政によるトップダウンよりも、市民やコミュニティによるボトムアップが望ましい。

このようなチャレンジは、知の多様性とソーシャル・キャピタル(社会関係資本)をテコに、まさしくボトムアップによって都市イノベーションを起こそうという試みである。言い換えれば、市民中心、そして市民参加の都市イノベーションを志向している。

この都市イノベーションは、日本にとっても大きな課題である。実際、さまざまな学術機関やプロフェッショナル・サービス会社が、都市イノベーションに関するランキングを発表しているが、日本の都市はそのほとんどすべてにおいてトップ10に入っていない。とはいえ、こうした厳しい現実は、裏返せば、伸びしろの大きさを示している。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関する一連の騒動によってあぶり出されたように、日本の各主要都市には、リ・デザインとイノベーションが求められている。しかし、我々はこれまで、都市デザインをお上任せにしてきてしまった。今後は、グーグルが先覚したように、企業と市民の共創が不可欠である。そして行政には、こうした新しい協力関係を促す施策や行動が望まれる。

第9回トポス会議では、こうした問題意識の下、都市社会学を研究するコロンビア大学教授のサスキア・サッセン氏、「エッジ・シティ」という概念を提唱したアリゾナ州立大学教授のジョエル・ガロー氏、「リビング・ラボ」の推進者の一人である欧州委員会のブロール・サルメリン氏を招聘し、東急電鉄社長の野本弘文氏、日建設計副社長の中分毅氏、京都の老舗企業細尾社長の細尾真生氏らと共に、日本の都市イノベーションのあり方について議論する。

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プログラム:

モデレーター:羽田未蘭野、紺野登

              

トポス1:≪グローバル都市と経済≫

 ジョエル・ガロー、中分毅、サスキア・サッセン

            

トポス2:≪都市のオープン・イノベーション≫

 ブロール・サルメリン、デヴィッド・ハーヴェイ、福田紀彦、サスキア・サッセン

                  

トポス3:≪企業の都市イノベーション≫

 野本弘文、細尾真生、ジョエル・ガロー

 

総括:野中郁次郎

                 

今回の講演者は以下の錚々たる方々でした。(アルファベット順)

ジョエル・ガロー
ジョエル・ガロー氏-w3i-JoelGarreau

アリゾナ州立大学 法学部 リンカーン講座教授

「ワシントン・ポスト」紙 前記者・編集者

細尾 真生
細尾真生氏

株式会社細尾

代表取締役社長

中分 毅
中分毅詩

株式会社日建設計

取締役副社長執行役員

野本 弘文
野本 弘文氏-w3i-nomoto

東京急行電鉄株式会社

取締役社長

ブロール・サルメリン
ブロール・サルメリン氏

欧州委員会

通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局

イノベーション担当アドバイザー

サスキア・サッセン
 
サスキア・サッセン氏-w3i-SaskiaSassen

コロンビア大学 社会学部

教授

福田 紀彦
【ビデオ】
福田紀彦氏氏

川崎市

市長

デイヴィッド・ハーヴェイ
【ビデオ】
デイヴィッド・ハーヴェイ氏-w3i-harvey

地理学者 ニューヨーク市立大学大学院

教授

コーディネーター/総括

羽田 未蘭野
羽田未蘭野氏

キャスター

紺野 登
紺野登氏

多摩大学大学院教授

(トポス会議発起人)

野中 郁次郎
野中 郁次郎

一橋大学名誉教授

(トポス会議発起人)

 

講演者の数名の方々とお話をしましたが、「都市のオープン・イノベーション」で話をされた、ブロール・サルメリンさん(欧州委員会イノベーション担当アドバイザー)の言われる 「Open Innovation 2.0」 について大変感銘を受けました。坂城町で取り組んでいる、「モノ」から「コト」へも同じような構想です。 (工業社会:「モノの時代」→知識社会:「コトの時代」)

また、細尾真生さん (1688年創業の京都の(株)細尾代表) はとにかく元気な方で、古典的な西陣織を海外に広める活動を積極的に行われています。 坂城町での講演をお願いすることにしました。

                                             

野中先生の総括:

創造都市は知識社会が建設するものであり、ナレッジのソース(源泉)である。 デカルト的な都市プランニングではなく、よりボトムアップ、ハートによる町づくりが根本であり、真善美を追及するもので、Art & Science でありマネジメントと同じである。 Common Goods(共通善)を求め、かつ現実を直感しながら進めなければならない。 リーダーシップ力が求められる。

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坂城町長 山村ひろし

第8回TOPOS会議の開催

 昨日(5月29日)、第8回TOPOS会議が開催されました。

 TOPOS会議は野中郁次郎一橋大学名誉教授が発起人となって始められた、世界的な錚々たる賢者を集めて年2回開催される「知の場」(TOPOS)です。

 私は野中先生のご紹介もあり毎回この会議に参加しておりますが、今回のテーマは「産業・社会・環境」革命の衝撃 ~100年後の世界と日本のランドスケープを構想する~ という壮大なものです。

 主催者側の発表内容を参考にすると以下のような内容であります。

            

 「21世紀は、デジタル・ネットワークとつながったモノとモノ、機械と機械が「会話」する時代になる――。この新しい現実は、「IoT」(モノのインターネット)、あるいは「インダストリアル・インターネット」と呼ばれ、既存の製品やサービス、ビジネスモデル、バリューチェーンなどを創造的に破壊し、競争地図を塗り替え、産業システムをグローバルに再構築するといわれている。そのインパクトの大きさと広さから、第4の産業革命、あるいはインダストリー4.0と称される。

しかし、18世紀の産業革命が、技術革新と工業化だけでなく、それに伴う社会構造の変化――仕事の分業化や専門分化、生産と消費の分離、労働者階級や資本家の台頭、都市化、家族形態の変化など――とともに語られてきたように、21世紀の産業革命の影響はビジネス界だけにとどまらない。

これまでのトポス会議でも指摘されたように、3Dプリンターに代表されるデジタル・ファブリケーション、クラウドファンディングやクラウドソーシングによって、生活者へのパワー・シフトがいっそう進むであろう。それは、ソーシャル・イノベーション、環境との共生、企業の地球市民化をさらに推し進め、社会システムのリデザイン、資本主義の改革が促されるだろう。

したがって、いま起こりつつある21世紀の産業革命を、産業人や経済人の視点や関心だけから見ていては、ことわざに言う「群盲象を評す」に等しい。また、現状から演繹的に予測したり、象徴的な事例だけで判断したりすることも同様である。

第8回トポス会議では、インダストリアル・インターネットを推進するリーダー企業のゼネラル・エレクトリック、インダストリー4.0を主導するSAP、日本のIoTを牽引するキーパーソンのほか、22世紀を見通す未来学者、生圏倫理学(エコエチカ)の第一人者、時代の変化に覚醒した農業のイノベーター、デザインと工学を融合させてイノベーション創発を企てるデザイナーらを招き、IoTが描き出すランドスケープについて考える。」 というものでした。

坂城町でも私が数年前から、IOT(Internet of Thimgs)、これは「もののインターネット」と言われていますが、はなはだわかりにくい訳です。 むしろ、「コトのインターネット」というほうが意味が深くなりますし、坂城町に置き換えれば、「つながる坂城町」(全てがインターネットでつながる)と言えるでしょう。

とにかく、坂城町の未来を考える場合、現在の時間軸でなく、100年後を捉え、そこに 「つながる坂城町」 のイメージを持って町づくりを行わなくてはならないと考えています。

今回のスピーカーのなかでいわば異色の哲学者 橋本典子先生のお話に強い共感を受けました。橋本先生は、「エコティカ」の提唱者で世界的な哲学者今道友信先生の愛弟子で現在世界的に最も活躍されている哲学者の一人です。

橋本先生は、産業技術中心から視点を変え、長期にわたる環境革命が必要で、「エコエティカ」 の観点から、私たち全員を含む市民が連帯して進めなければならないということです。

              

*エコエティカ : 今日、生命倫理や医の倫理、環境倫理や技術倫理など、すべての分野で倫理が問い直されている。 エコエティカとは、これら一切を含む「人類の生息圏の規模で考える倫理」 のことで、高度技術社会の中で人間の生き方を考え直そうとする新しい哲学である。人間のエコロジカルな変化に対応する徳目とは何か。よく生きるとはどういうことか。今こそエコエティカの確立が急務である。(今道友信著「エコエティカ」より。)

            

私は、以前、今道友信先生から「エコエティカ」についてお話を伺う機会が多くありましたので、橋本先生に近い時期に坂城町でご講演いただくようお願いいたしました。

素晴らしいお話が聞けるものと思います。

                   

今回のスピーカーは以下のとおりでした。

(アルファベット順)

      

橋本 典子
橋本典子氏

青山学院女子短期大学

教授

加藤 百合子
加藤百合子氏

株式会社エムスクエア・ラボ

代表

熊谷 昭彦
熊谷昭彦氏

日本GE株式会社

代表取締役社長兼CEO

松永 明
松永明氏

経済産業省

経済産業政策局

審議官

佐相 秀幸
佐相秀幸氏

株式会社富士通研究所

代表取締役社長

グルプラサッド・シュリニヴァサムルティ
Guruprasad Srinivasamurthy
グルプラサッド・シュリニヴァサムルティ氏

SAP

シニア・バイスプレジデント

ハリー・ストラッサー
Harry Strasser
HarryStrasser氏

Digital Convergence & Innovation

エグゼクティブ・ディレクター

田川 欣哉
田川欣哉氏

takram design engineering

代表

ポール・サフォー
Paul L. Saffo
【ビデオ・メッセージ】
ポール・サフォー氏

未来学者

                                                       

                                                                                                                      

コーディネーター/総括

都築 紗矢香
都築紗矢香氏

キャスター

紺野 登
紺野登氏

多摩大学大学院教授

(トポス会議発起人)

野中 郁次郎
野中 郁次郎

一橋大学名誉教授

(トポス会議発起人)

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坂城町長 山村ひろし

第7回トポス(TOPOS)会議

昨日(11月27日)、六本木ヒルズで開催された 「第7回TOPOS会議」 に出席しました。

 TOPOS会議は野中郁次郎一橋大学名誉教授が発起人となって始められた、世界的な錚々たる賢者を集めて年2回開催される「知の場」(TOPOS)です。

 今回で7回目となりました。

 今回のテーマは 『賢慮資本主義宣言・・日本発の「資本主義」を構想する』 という壮大なものです。 以下、内容について若干ですがコメントします。  

賢慮資本主義というのは現在、種々の問題点があらわになり、限界が囁かれている現今の資本主義に対して、野中郁次郎先生が唱えている、「人間中心の精神・価値観に基づいた経済や経営のあり方、いわゆる、賢慮(共通善実践のための智慧)に基づく資本主義(prudence-based capitalism、あるいはワイズキャピタリズム)のことを指します。

今回のトポス会議は3つのセッションに分かれます。(トポス1からトポス3)

 トポス1:は、≪世界経済の挑戦≫のセッションで、まず、吉川洋教授が近世の経済学の流れを総括し、

 「経済成長=パイを増やすこと」、「所得分配=パイを分けること」と整理し、「経済成長」は、効率性(価値との相対性)が求められ、「所得分配」は正義・平等が求められ、カルチャーとの関係が問題となる。

 ここで重要なのは、「所得分配」に力点を置くよりは、経済成長により全体のパイを増やすことが大切であるということでした。

 また、ヘンリー・ミンツバーグは日本の企業のアドバンテージは高齢化、環境など種々の課題を抱えているからこそチャンスがある。イノベーションの宝の山であると述べています。

                  

 トポス3:で印象に残ったのは、田中弥生教授の話でした。 田中教授は若い頃からドラッカーの弟子となり、数々のドラッカーに関する著作や翻訳をされています。 ドラッカーは日本に大変な興味を持った経営学者ですが、その理由として、日本の企業が「経済」と「コミュニティー」両方の役割を果たしているからであったということです。

 また、江戸文化にも大変関心を持っており、江戸が「一人ひとりが位置と役割を持つ自由社会」であったからだということです。

 また、ユダヤ人であったドラッカーがナチスの迫害を受けて米国に移ったわけですが、ドイツで起きた最大の罪は「無関心の罪」であったということです。

 トポス会議の最後の野中郁次郎先生の総括は以下の通りです。

 「毛沢東はマルキシズムは単なる方法論だと言っている。イデオロギー論争より方法論の方が建設的である。 先日、ハイアールのCEO、チャン・ルエミンにあった際に、チャン・ルエミンは8万人の従業員を全員CEOにしたいと言っていた。8万人の社員を2000のベンチャー企業に分け任せる。本社はひたすらサポートに徹するということであった。もはや、通常のハイアラキーなどは眼中になかった。チャン・ルエミンは松下幸之助、稲盛和夫などよく研究していた。

 賢慮資本主義の国家は全員の知を総動員する国家である。実践知により新たな環境、コンテクスト(文脈)が出てくる。やり抜く力が何より必要となる。また、「物語・ストーリー」を描くことが必要。文学では起承転結があるが現実の戦略はオープンエンド(連続ドラマ)である。」ということです。 難しいですね。

久しぶりの面々、左から:野中郁次郎先生、紺野登先生

               

右:田中 弥生 (独)大学評価・学位授与機構教授

                     

プログラム

 

13時~1310>

プロローグ>

1310分~1440>

セッション1: 世界経済の挑戦>

1450分~1630>

セッション2: 賢慮資本主義の可能性>

1630分~1645>

休憩>

1645分~18>

セッション3: 実践知経営がもたらす賢慮資本主義>

18時~1830>

総括: 野中 郁次郎>

1830分~2030>

ネットワーキング・セッション>

 

登壇者

トポス1:≪世界経済の挑戦≫

吉川 洋 東京大学大学院経済学研究科教授

太子堂正称 東洋大学経済学部准教授

ヘンリー・ミンツバーグ マギル大学教授【ビデオ・メッセージ】

ジェームス・K・ガルブレイス テキサス大学オースティン校教授【ビデオ・メッセージ】         

 

トポス2:賢慮資本主義の可能性≫

西部邁 評論家 東京大学教養学部前教授

藤井聡 京都大学大学院工学研究科教授

ジェームス・K・ガルブレイス テキサス大学オースティン校教授【ビデオ・メッセージ】

       

トポス3:≪実践知経営がもたらす賢慮資本主義≫

三村浩一 3Mジャパン(株)代表取締役社長

田中 弥生 (独)大学評価・学位授与機構教授

舩橋晴雄 シリウス・インスティテュート(株)代表取締役

第6回TOPOS会議 (テーマは「エイジング3.0」)

 本日(7月3日)、六本木ヒルズで開催された 「第6回TOPOS会議」 に出席しました。

 このTOPOS会議は野中郁次郎一橋大学名誉教授が発起人となって始められた、世界的な錚々たる賢者を集めて年2回開催される「知の場」(TOPOS)です。

 今回で6回目となりました。   

 今回のテーマは 『エイジング3.0― 2050年に向けた賢慮なる生き方、働き方、知のあり方 ― 』 という大変大きなものです。

 超高齢化社会の本質をとらえ長期的な視点で議論しようというものです。

 素晴らしいいくつかのアイデアとして、「超高齢化社会を暗いものとしてとらえるのではなく、積極的に取り組むべき明るいテーマとする」、「スマート・プラティナ社会」という考え方、「シルバー・バレー(Silver Valley)・・シリコンバレーと同じように超高齢化社会に対して総合技術的な拠点を創る。(フランスの例)」、「老人の知性と若者の知識を組み合わせる」など大変興味ある議論が提出されました。

 今回の論点をもう少し整理して坂城町でも議論をしたいと思います。

                        

 本テーマの主旨は以下の通りです。 坂城町にとっても切実な問題であり、短期、長期的に取り組まなければならない喫緊のテーマです。 以下、いささか長文ですがご参考まで。 (TOPOS会議資料より)

                                 

 「世界の総人口が90億人を超えるにもかかわらず、我が国は1億人を割り、しかも65歳以上が4割近くを占め(15歳未満は何と1割程度)、平均寿命は女性が90歳、男性が83歳を超える――。 これが、各調査機関が予測する21世紀半ばの日本です。医療のさらなる高度化により、平均寿命はさらに伸びるという予測もあります。

こうした高齢化は世界的な傾向であり、かつ人類史上初めての経験です。幸か不幸か、日本はそのフロント・ランナーであり、それゆえ「課題先進国」あるいは「課題解決先進国」というスローガンも生まれてきました。

高齢化について議論される時、通常、現在抱えている課題、近い将来直面する課題が取り上げられます。それは、いわゆる「エイジング2.0」と呼ばれるフェーズのものであり、多くが喫緊の課題であり、解決が急がれます。

しかしその一方で、さらなる未来の課題について思索し、顕在化する前に備える必要があります。課題はいかに先進的であろうと、これまでのように課題が具体化してから解決策を議論していては、泥縄の内容になるばかりか、いつまで経っても課題解決先進国などなれません。しかも、長寿リスクの話ばかりでは暗くなる一方です。

第6回トポス会議において、我々は、「エイジング 3.0」について議論することを提案します。誰もが長寿を謳歌し、それが当たり前の時代になるのは時間の問題です。しかも、医療やヒューマン・エンハンスメント(肉体強化)、ロボティックスの技術進歩は目覚ましく、たとえば、平均寿命が100歳あるいは150歳(もしかしたら200歳)を超える、肉体年齢を半減できることも夢物語ではありません。エイジング3.0は、超高齢社会(裏返せば「低出生率社会」)の新たな前提を設定し、二歩先、三歩先について考えるという試みです。

少なくとも、たとえば「若さの概念や尺度が変わる」「生き方や働き方が非連続的に変わる」「高齢者は若者からメンタリングや再教育を受ける」「既存の経済や社会システムが実態と完全なる齟齬を来たす」など、近未来のニュー・ノーマル(新常識)について思いをめぐらす必要がありそうです。

そこで今回は、現在高齢化問題に先進的なアプローチで取り組んでいる医療関係者の方々のほか、「身体知の意味」について狂言師の権威を、「長寿の功罪」について倫理学者を、また海外からは「科学技術による寿命の大幅な延長と肉体年齢の低下」に関する研究者、デザイン思考による「超高齢社会の生き方や働き方」を考える実学者、「21世紀にふさわしい高齢者コミュニティ」の推進者などをお招きして、まさしく学際的な議論を展開する。」  というものです。

今回のパネリストも錚々たる方々ばかりでありました。   

                               

(プログラムの内容)

                                                       

                            

(登壇者) 

                                                   

( パネルディスカッション開始前の風景)

左から2番目に野村万作さん

             

中央:グレッチェン・アッディ(Gretchen Addi)  IDEOパートナー

IDEOは米国のコンサルティング会社でデザイン研究の先端企業です。米国パロアルトの事務所には何度かお邪魔したことがあります。

ナターシャ・ヴィタモア(Natasha Vita-More)

先端技術大学教授 ハンディキャップのある方などへのヒューマン・エンハンスメント(肉体強化)の権威者

久しぶりに野中郁次郎先生と

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 坂城町長 山村ひろし

第5回TOPOS会議

 昨日(3月13日)、午前中は坂城町議会の二つの委員会(総務産業、社会文教)に出席したのち、午後は六本木ヒルズで開催された 「第5回TOPOS会議」 に出席しました。

 このTOPOS会議は野中郁次郎一橋大学名誉教授が発起人となって始められた、世界的な錚々たる賢者を集めて年2回開催される「知の場」(TOPOS)であります。                

野中郁次郎先生 

                             

 今回のテーマは 「日本のソーシャル・ランドスケープを構想する ― ポスト・アベノミクスの実践知リーダーシップ ― 」 という壮大なものです。

 モデレータは今回も、武部恭枝氏(プライム・コーポレーション)と紺野登氏(多摩大学大学院教授)によって行われ、以下の方々がパネリストとして登場しました。

                       

―パネリスト―
           
 藤田昌久(経済産業研究所所長)、船橋洋一(日本再建イニシャティブ理事長)、石川幹子(中央大学教授)、イェスパー・コール(JPモルガン・マネジングディレクター)、藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)、根岸正弘(ヤクルト取締役)、新浪剛史(ローソン代表取締役)、エマニュエル・トッド(歴史学者・家族人類学者)
           
 セッションは以下の3つに分かれ行われました。
                 
          
TOPOS1:≪賢慮なき国家は衰退する≫
                    
 エマニュエル・トッド氏と船橋洋一氏がパネリストとなり、種々議論が交わされましたが、国家としてのランドスケープをどのように描くかが大切でその点で、日本が取り組むべき最重要課題は人口の問題、家族の問題であり、国を挙げて少子高齢化の問題に取り組まなければならないといった点を強調されていました。
                    
             
TOPOS2:≪脱・一極集中:自己創発的社会のデザイン≫
                   
 藤田昌久氏、イェスパー・コール氏、藻谷浩介氏、エマニュエル・トッド氏がパネリストとなり議論が行われました。
                 
 この中では藤田昌久氏が述べられた『世界に開かれた多様な「輝く地域」の連合体』についての意見が大変素晴らしく「特色を持った」「多様性」のある地域社会の必要性を論じられていました。坂城町にとっても大変参考になる話でした。
                     
 「空間経済学」の分野で第一人者の藤田先生には近いうちに坂城町で講演していただけるようお願いをいたしました。
            
                 
藤田昌久先生
                    
           
TOPOS3:≪賢慮のリーダーは社会資本に投資する≫
                       
 石川幹子氏、新浪剛史氏、根岸正弘氏、藻谷浩介氏がパネリストとなり議論が交わされました。
 このセッションでは、ランドスケープデザインの第一人者で、被災を受けた宮城県の岩沼市出身で復興活動に精力的に参加されている石川幹子先生のお話、新浪ローソン社長の震災での体験を踏まえた 「コミュニティが無ければビジネスは成立しない」「震災時には東京でのビジネスを捨ててでも東北地区の復旧を目指した」 などの話が印象的でした。
                   
            
 野中先生の総括では、『「賢慮」「実践知」などアリストテレスが取り上げた「知」を共通善としてとらえ、理論と実践をいかにバランスよく扱いつつ行動しなくてはならないこと。 特に非常時には、十分な根拠が無く、充分な説明が出来なくても行動し、実践をし、修正しつつ行動することが大切であること。 そのためにはその集団が全体として「大きなValue」を持つことが重要である。 日本の真の強みは理想を持ったプラグマティズムが大切であり、観念論・分析的すぎてはいけない。』
 というコメントがありました。
                
                     
中央大学石川幹子教授と
                 
 石川先生は環境デザイン、都市づくりなどのランドスケープデザインの第一人者です。
 坂城町のこれからのあるべき姿などについての参考になるお話を種々伺いました。
                   
                 
             
 坂城町長 山村ひろし

第4回トポス会議

昨日(10月2日)、六本木ヒルズで第4回トポス会議が開催され出席しました。

坂城町でも昨年ご講演いただいた、野中郁次郎一橋大学名誉教授が発起人の、「第4回TOPOS会議(主催:富士通総研)」ですが、今回のテーマは 『イノベーティング・イノベーション ~ 「日本のイノベーション」 のパラダイム・シフト ~』というテーマです。

最近の日本は以前に比べれば少しは元気が出てきたように感じますが、世界の中でみると、この20年間の停滞はあまりにも大きなものがあります。

その中で、「日本のイノベーション」 を考えてみた場合、現在の状況、今後何をしなければならないのか、など世界のキラ星ともいえる錚々たる方々の議論の場に参加しました。

詳細は別途、ご報告したいと思いますが、大変大きなヒントをもらったような気がします。

例えば、国家戦略のイノベーションを考えてみた場合、国家としてはイノベーションのイネブラー(推進役)あるいは場づくりは出来ても直接実施することは出来ない。

しかしながら、地方自治体のレベルになると単なるイネブラーではなく、実践的主体者になれるというものです。 

この点に関して、イノベーションと自治体の関わりについて大いにに研究したいと思います。

今回お話をさせていただいた講師陣の中では何と言っても、テックショップのマーク・ハッチ氏とじっくり話が出来た事は最大の収穫でした。

一昨日、さかきテクノセンターで「3Dプリンター」のセミナーを開催したばかりですが、まさにその最先端を走っているハッチ氏との会話は大変貴重なものでした。

テックショップは広大な施設(米国に6か所)の中に3Dプリンターなどを含むあらゆる工作機械を設置しそれを自由に使ってモノづくりのスペースを提供しているものです。(ただし、単に箱モノを提供するだけでなく、関連技術の講義、サポートを徹底して行っている)

テックショップの看板にあるように、「Biuld Your Dream Here(ここであなたの夢を創りましょう)」というものです。

坂城町ではこれからテクノセンターに3Dプリンターを設置し自由に使える環境を作っていきます。

私は 「坂城町全体がテックショップ」 になることを夢想しています。

また、芝浦工大の國井秀子教授は自分でも起業をしたり大企業で勤務をされた経験を持たれておられますが、男女共同参画の面でも先駆者です。

来月(11月30日)、さかきテクノセンターで開催される男女共同参画セミナーの講師である内海房子さんとも大変懇意にされておられる方です。

また、セミナー後のパーティには長野県阿部知事も来られ歓談をしました。

今回のプログラムと講師は以下の通りです。

トポス1.≪国家戦略としてのイノベーション≫

國井秀子(芝浦工大)、安藤国威(元ソニー社長)、伊藤正裕(ヤッパ会長)、住田孝之(経済産業省)

トポス2.≪社会を巻き込むイニシャティブ≫

マーク・ハッチ(米国テックショップ)、ヤン・スターマン(オランダ ラーテナウ研究所)、ムー・ロンビン(中国科学院)

ビデオ出場:ポール・ローマー(ニューヨーク大学)、ミッコ・コソネン(フィンランド イノベーション基金)

トポス3.≪明日の日本のイノベーション≫

西口尚宏(産業革新機構)、マーク・ハッチ(米国テックショップ)、國井秀子(芝浦工大)、安藤国威(元ソニー社長)

ビデオ出場:アラン・ケイ(米国ビューポインツ・リサーチ)

総括 野中郁次郎(一橋大学名誉教授)

モデレーター:武部恭枝(プライム・コーポレーション)、紺野登(多摩大学教授)

テックショップCEO マーク・ハッチ氏と

芝浦工大 國井秀子教授と

左から:山村、野中先生、中嶋聞多教授

左から:野中教授、佐相富士通副社長、阿部長野県知事、山村

坂城町長 山村ひろし