坂城町にも度々お出でいただいている、キャノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之さんから、最新のレポートが来ました。
タイトルは、「バイデン政権の対中政策 ~欧米の専門家・有識者は今後の米中関係をどう見ているか~ <2021年3月1日~26日 米国欧州オンライン定期面談報告>」です。
今回は、オンラインによるインタビューですが、通常のメディアでは聞けないお話が一杯です。以下、ご覧ください。
▼キャノングローバル戦略研究所
研究主幹 瀬口清之さん
(要旨)
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ジョー・バイデン氏が第46代大統領に、カマラ・ハリス氏が米国初の女性・アフリカ系・アジア系副大統領に就任した。トランプ政権下の異常な時代が終わり、政策や社会秩序が正常さを取り戻しつつあり、多くの米国民は安心感を回復しつつある。
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バイデン政権の優先課題はコロナの終息と経済の回復によって国民を安心させることにある。そのためには円滑な政策運営に必要な関係法案を成立させることが必要であり、議会の協力が不可欠。来年秋の中間選挙で両院での過半数を維持するため、今年中に明確な政策運営の成果を示して、国民からの信頼確保が極めて重要となる。
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議会はトランプ政権時代から超党派で対中強硬姿勢を支持しているため、議会との協調を重視すれば、当面は前政権の対中強硬姿勢の基本方針を変えることが難しい。
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2月上中旬に米国で実施された世論調査(ギャラップ社)によれば、中国に対して好ましくない感情を抱く人の比率は79%と、1979年調査開始以来最悪の水準に到達。
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今年は議会との対立を招く可能性が高い対中政策基本方針の修正は難しい。本年秋以降、微修正はあっても、本格的な修正は2年目以降徐々に進むと予想されている。
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対中政策が先行き修正されても、オバマ政権第1期の「関与=エンゲージメント」に戻る可能性はなく、同政権第2期の「抑止」に近づくと見られている。
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バイデン政権では中国を競争相手、敵対者、かつ協力者であると位置づけている。
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バイデン政権の対中政策は前政権と比べ以下の点が異なる。1.中国に対する理解度が高い、2.政策経験が豊富な人材が政策を担う、3.大統領が勝手に動かない。
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バイデン大統領の就任式に台湾の駐米代表が1979年の米台断交後初めて正式招待を受けて出席した。もし招かなければバイデン政権は反中派が支配的な議会から厳しい批判にさらされていた。それを回避するための議会対策として招いたものだった。
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バイデン政権は米国政府の台湾政策について、従来からの「一つの中国政策」を否定せず、そのベースラインの範囲内で対処する方針である。
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欧州中国投資協定は、米国の対中経済関係へのキャッチアップを目的とするものであり、同時に、米国のデカップリング政策に反対するメッセージでもある。
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中国のCPTPP加入審査において、日本としては、英独仏等欧州諸国の協力も得て、うまく政治的な圧力を緩和しながら米中両国とのバランスを保ち、客観的中立的な判断基準に基づいて厳正に審査する立場を堅持することが求められる。今後もし英国とEUが加入すれば、日本は英国およびEUと相談することが可能となる。
(レポート全文は以下をクリック願います。)
https://cigs.canon/uploads/2021/04/20210416_seguchi_report.pdf
坂城町長 山村ひろし