先週の日曜日(9月22日)、恒例の網掛十六夜(いざよい)観月俳句会が開催されました。
老若男女こぞって楽しい会を持つことができました。
今年も、まず、十六夜観月殿で俳句を作った後、網掛公民館で「十六夜観月フェスティバル」 が開催され、入選句の発表、ビンゴ抽選、会食などが行われ大いに賑わいました。(実行委員長:宮入宗乗 網掛区長)
坂城町網掛にある、「十六夜観月殿」は月見堂ともいわれ、千曲川を眼下に望み、坂城町全域を一望におさめることのできるまさに景勝の地に建っています。
この観月殿は元中年間(1384~1392)に村上満清が建立をしたと言われていますが、その後、戦火に会って焼失し、寛永年間(1624~1645)、郷人によって再建されました。
貞亨5年(1688年)8月16日、芭蕉が十六夜の月を詠んでいます。
「いざよひもまだ更科の郡かな」(更科紀行)
(姨捨で 「俤(おもかげ)や姥ひとりなく月の友」 を詠んだ次の日に網掛を訪れています。)
十六夜観月殿での句会は何百年にも亘って続けられている句会ですが、昨年から小学生も参加し、名も新たに「十六夜観月フェスティバル」 として開催されています。
このような形で坂城の文化・伝統を継承されておられることに大いなる敬意を表します。
観月殿を取り囲んで子供たちも句をひねる
十六夜観月殿の前で長考する参加者
十六夜観月殿から見る、坂城の町並みと千曲川
今年も素晴らしい句がたくさん披露されました。
その一部をご紹介します。
兼題(大人の部)
「新米」
金賞(天位) 新米に希望を添えて仏壇に(宮入勝江)
銀賞(地位) 新米や三陸の友へ先ず送る(柳澤澄)
銅賞(人位) 日本の色新米に明太子(大井さち子)
「残暑」
金賞(天位) 街残暑ビルの直角空を切る(大井さち子)
銀賞(地位) 竜の風天を荒らして残暑かな(塚田正平)
銅賞(人位) 臥す父よ風の気配無き残暑かな(柳澤澄)
兼題(子供の部)
「運動会」
入選 運動会初めての白旗頑張るぞ(久保優花)
入選 運動会はんとうぼうを頑張るぞ(大井はるひ)
入選 かけっこで一位争う運動会(塩野入美紫)
入選 運動会つな引きがんばるぞ(塩野入凛衣)
席題(大人の部)
「猪」
金賞(天位) 猪を追う人もなく里の山(小宮山峰男)
銀賞(地位) 猪の柵を乗り越え野菜穫り(塚田正平)
銅賞(人位) 天気荒れまた猪も大あばれ(清水政紀)
「夜長」
金賞(天位) 長き夜は亡き母の事思いおり(入日時子)
銀賞(地位) 墨をする匂い漂う夜長かな(宮㟢侑子)
銅賞(人位) 長き夜は子と語らいて眠りつく(浅野井さお里)
席題(子供の部)・・「天の川」、「さんま」 (金賞のみ掲載)
金賞 天の川昼に見えなくふしぎだな(小宮山怜)
選者吟
今年米百六歳を讃えけり(大井宗斉)
禍の風も過ぎ去り秋暑し(大井宗斉)
新米膳祖母父母の笑み新たなり(宮㟢喜美夫)
美人画展入りてうっとり残暑の日(宮㟢喜美夫)
新米を下さる人在り隣組(宮入宗乗)
老い二人希なる残暑生き抜けり(宮入宗乗)
私の句は主賓句ということでした。恥ずかしながら2句ご紹介。
「新米」・・寒暖の苦労香ばし今年米
「夜長」・・月見むと十六夜長し川くもる
今年は、芭蕉が更科紀行の途上、越智越人と網掛へ来てから325年です。
また、来年は芭蕉生誕 370年、没後 320年にあたります。
来年の十六夜句会で芭蕉にちなむ催しができれば素晴らしいなと思います。
坂城町長 山村ひろし