本日(8月15日)、坂城町文化センターで、第61回成人式が開催されました。
終戦記念日でもある本日、全員黙祷の後に開会されました。
今年は113名の新成人の参加がありました。
以下、私の挨拶文を掲載させていただきます。
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平成28年8月15日 成人式>
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皆様こんにちは。坂城町長の山村です。>
新成人の皆様、成人式おめでとうございます。>
また、今日まで暖かい愛情を持ってお子さんを立派に育て上げられたご家族、保護者の皆様に心より、お祝いとお喜びを申し上げます。>
かさねて、本日、ご多用のところ本式典においで頂いた、塚田議会議長殿をはじめ多くのご来賓の皆様に御礼申し上げます。>
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さて、坂城町では成人式を毎年、終戦記念日に開催しています。また、今年はオリンピック開催の時期とも重なりました。>
以前は1月の成人の日に開催していたこともありますが、冬、雪の中での開催が難しい場合がありました。>
一方、8月の開催ですと、お盆の時期で新成人の皆さんが帰省しやすい時期であることと、8月15日の終戦の日にあたり、あらためて命の大切さ、平和の大切さ、国のあり方などを考える良い機会になることで、本日の開催になりました。>
今年の対象者数は147名ですが、そのうち約8割にあたる、113名の方に参加いただきました。 >
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皆さんは今日の成人式を迎えてどのような心境でしょうか。>
成人式を迎えられた皆様の中にはすでに社会に出て働かれておられる方、学生の方、働きながら勉強をされておられる方がおられます。>
また、坂城の中で家業を継がれておられる方、遠く坂城を出て活躍されておられる方々などいろいろな立場で本日おいでになっておられると思います。>
久々に懐かしい方々との旧交を温められ、心躍る感傷に浸っておられる方々も多いかと思いますが、折角の節目でありますので、皆さんが成長されたこの20年間を、お世話になった方々への感謝の念をも抱きながら種々思いをはせていただきたいと思います。>
また、今年は坂城町で開催される第61回目の成人式ですが、戦後71年目の年ともなりました。>
今日は、成人を迎えられたこの機会に、これからの日本の平和の在り方についても考えていただくために、戦争にまつわるお話をいくつか申し上げたいと思います。>
まず、昨年、3月に坂城町中之条にある西念寺の若麻績実豊さんと奥様の節子さんがお見えになりました。 >
お二人はオーストラリア南東部カウラ市の日本人墓地に埋葬されている、叔父の坂城町(元中之条村)出身、元陸軍准尉若麻績通明さん(1918年―45年)の墓を訪問されたそうです。>
このお墓に埋葬されておられるのは元陸軍准尉の若麻績通明さんで、昭和19年にニューギニアで戦死したと伝えられておりましたが、実は捕虜となった後、オーストラリアに移送され、死後、カウラの日本人墓地に埋葬されていたことが分かりました。 >
一昨年、明治学院大特命教授の山田真美さんがカウラの墓地のリストに若麻績通明さんの名前を発見し、知人の若麻績姓の男性に連絡したことなどから、通明さんであることが判明しました。>
カウラ市のビル・ウェスト市長とも会われ、分骨などのお願いをされたそうです。>
若麻績さんによりますとこの日本人墓地は大変大切に管理されており、戦没者以外でも、戦時中強制キャンプに収容された人々(抑留民間人)も含めてオーストラリア各地で亡くなった方々、500人がこの墓地に収容され埋葬されているとのことです。>
昭和30年ころに、この事実が日本政府に伝えられたのですが、遺族への連絡等は一切なかったそうです。 >
一方、カウラ市は大変親日的で桜の植樹なども積極的に行っていただいているようです。>
戦時中、海外で無くなった方々のお墓をこのように丁重に維持管理していただいていることに心から感謝したいと思います。>
その後、多くのご関係者の大変なご努力により、オーストラリア・カウラ市の日本人墓地から分骨されたご遺骨が昨年秋に、坂城町中之条西念寺さんに納骨されました。在日オーストラリア大使、ブルース・ミラーさんも参列される中、納骨法要が行われました。>
日本、オーストラリア両国の本当に多くの方々の熱意、善意、努力が重なり合い実現しました。>
このような素晴らしい物語を一過性のものにしないように、オーストラリア政府、カウラ市との間で何らかの形で交流事業を進められればと思っております。>
まだまだ戦後は終わっていないのだなと思いました。 また、本件についての日本政府のいままでの対応についてはいささか残念ですが、オーストラリア、カウラ市の大変、心温まるお話を伺い胸を打たれました。>
もう一つ戦争にかかわるお話を申し上げます。>
以前、私が友人から入手した、出征時に寄せ書きされた日章旗があったのですが、その出征された持ち主、この方は中国戦線でなくなられたのですが、この竹前重信さん宅に約70年ぶりにこの日章旗をお渡ししました。 >
この日章旗は竹前重信さんが昭和14年に陸軍に志願兵として入営する際にに親戚や近隣の方々、友人などから武運長久を願って寄せ書きがされたものです。>
しかしながら、昭和17年8月8日、中国河北省で敵に包囲され銃撃を受け戦死されました。>
その際に身につけられていた日章旗でした。しかしながら、この日章旗は行方不明になったままでした。 一方、竹前重信さんが戦死された当時の戦況、様子などの記録は後刻送られており、そのときの状況がよく分かりました。果敢に戦ったけれども、多勢に無勢であったそうです。 >
この日章旗の持ち主を見つけるのに、約半年間かかりましたが、多くの方のご尽力により、ようやくご親族にお渡しすることができました。私にとっても感無量でありました、戦後、70年たっての帰還となったわけであります。>
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さて、私は、毎年、成人式に際して、「命」の大切さについてお話をしています。>
皆様方は、ご両親から頂いた「命」の大切さについてどう考えておられるでしょうか。>
昨今、毎日のように悲惨なニュース、それも今までは考えられなかったような、命の尊厳さ尊さを無視する、信じられないような事件が発生しています。>
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皆さん、私は「命」は大自然からお借りした大切な「宝物」だと思っています。>
皆さんの命は皆さんのご両親が突然作り出したものではありません。皆さんのご両親、ご両親のご両親、どんどん遡れば地球誕生から約46億年、宇宙の起源から考えれば約130億年前から営々と皆様のDNAが脈々と続いてきているわけであります。>
大自然からお借りした「命」を立派に、立派に磨き上げ再び大自然にお返ししなくてはならないのです。>
仮に、皆さんが友人からゲーム機あるいは、ポケモンGOのためにスマートフォンを借りたとします、これを傷つけたり、べたべたに汚して返したら皆さんの友人は何と思うでしょう。>
反対に、借りた時以上に見事に磨き上げピカピカにして返したら皆さんの友人は何と喜ぶことでしょう。皆さんの「命」もこのようにピカピカにして命を全うし、大自然にお返ししなくてはならないのです。>
今から71年前、戦時中では成人するということは即、戦場に行くということでありました。敵と戦うということでありました。見も知らぬ人間の命を奪う戦いをせざるを得ないということでもありました。今日、この際にもう一度皆様方各々で皆さんの「命」の大切さについて考えていただきたいと思います。>
また、先日、天皇陛下からご自身のこと、象徴天皇としてのあり方など、率直にお言葉を述べられました。私たちも、今、一度、日本の国のあり方について、世界の平和について考えたいと思います。>
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その観点からも、本日は、折角の機会ですので、是非、皆様で成人式のお祝いをするとともに、ディスカッションをしていただければと思います。>
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以上で平成28年度成人式のお祝いのご挨拶とさせていただきます。>
ご清聴ありがとうございました。>
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平成28年8月15日 坂城町長 山村弘
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以下、坂城町ニュースより
第61回坂城町成人式
▲記念式典
▲成人のことば(二見昂輝さん)
8月15日(月)、文化センターで、第61回坂城町成人式が開催されました。坂城町の成人式は、1月の「成人の日」ではなく、毎年8月15 日に開催するのが通例となっています。町の今年の成人者は、平成7年4月2日から平成8年4月1日までに生まれた147名で、本日はそのうち113名が出席し、久しぶりの再会を喜び合う姿が見られました。
厳粛な雰囲気のなか行われた記念式典では、坂城町の歌を全員で合唱し、成人者を代表して二見昂輝さんがあいさつを述べられたほか、山村町長から記念品が贈られました。
その後に行われた、新成人からなる成人式実行委員の皆さんによる「成人祭」では、中学時代の恩師の皆さんからお祝いの言葉をいただいたり、レクリエーションが行われ、とても盛り上がっていました。
新成人の皆さん、成人おめでとうございます!
▼成人祭
クラスごとの記念撮影
1組
2組
3組
4組
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坂城町長 山村ひろし