2016 オール信州三田会

本日(8月27日)、佐久市の佐久グランドホテルで、毎年恒例の慶應義塾卒業生の、「2016オール信州三田会」が開催されました。

今年も清家篤塾長が参加され、記念講演をされました。

テーマは「バランスのとれた総合大学に」 ということで、現在、慶應義塾の目指している大学教育のあり方などについて大変興味のある話をしていただきました。

                          

慶應義塾大学清家篤塾長

                   

近年、大学教育における、リベラルアーツのあり方、実践的な実務教育のあり方などについて盛んに議論がなされています。 清家塾長から、以下のお話を伺いました。

たまたま、今から80年前、ちょうどハーバード大学300周年に、当時のジェームス・コナント総長が記念講演を行い、その場に立ち会った、当時の慶應大学小泉信三塾長がその講演を聞いて大変感銘を受けたそうです。

コナント総長は、大学にとって大切なのは、学問研究、教養教育、高度専門職教育、健全な学生生活、の4つの要素であると述べとそうです。そのポイントは、この4つの要素のうちどれも無視されてはならず、また一方で過度に支配的になってもいけない、と言っている点です。

すなわち、大学は世の中に新たな叡智を与えるような高度な研究をしなければならない。しかし研究をするだけなら単なる研究所になってしまう。社会を高尚なものとするためには幅広い教養教育が不可欠である。しかし教養を授けるだけでは、ただ過去の学問を若者に伝える中等教育機関になってしまう。高度専門職の養成は大学の大切な機能である。しかしすぐに役立つ専門技能を授けるだけでは、大学は教育ではなく訓練を提供する場となり、学問の進歩は物質的豊かさを追求するための手段に成り下がってしまう。そして若者の人間的成長を促すのに健全な学生生活はきわめて大切だが、関心が学生生活だけに向けられるようでは、大学はカントリークラブになってしまうだろうとコナントは述べたそうです。

このような大学像は福澤諭吉先生の求めるイメージと全く同じであり、福澤先生のバランス感覚と一致するものであるということです。

本日の清家塾長の話は現在の大学教育において重要なポイント示唆しており、大きなバランス感覚の必要性について、私にとっても大きなヒントをいただきました。

 

講演のあと懇談会がありましたが、その場で参加者の皆さんに、昨年、坂城町で開催した、「信州村上シンポジウム」の紹介をし、その中で慶應義塾大学の西澤教授の発表内容、「信州と福澤氏」の内容を紹介し、福澤諭吉先生のルーツは坂城町である可能性があることも改めてお話ししておきました。

坂城町長 山村ひろし