平成30年度坂城町成人式

本日(8月15日)、坂城町文化センターで第63回成人式ならびに成人祭が開催されました。

左:成人式を迎えられた皆さんに記念品の贈呈

右:抽選で当たった方に坂城ワインを贈呈

(成人式の様子は以下の坂城町ニュースよりご覧ください。)

http://www.town.sakaki.nagano.jp/www/contents/1534314995553/index.html

以下、お祝いの挨拶を掲載させていただきます。

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平成30年8月15日 成人式

「諸君はこの時代にどう生きるか」

皆様こんにちは。坂城町長の山村です。

新成人の皆様、成人式おめでとうございます。

元気いっぱいの皆さんに今日、お会いできることを何よりうれしく思います。

また、今日まで暖かい愛情を持ってお子さんを立派に育て上げられたご家族、保護者の皆様に心より、お祝いとお喜びを申し上げます。

かさねて、本日、ご多用のところ本式典においで頂いた、塩野入議会議長殿をはじめ多くのご来賓の皆様に御礼申し上げます。

           

さて、坂城町では成人式を毎年、終戦記念日に開催しています。

以前は1月の成人の日に開催していたこともありますが、冬、雪の中での開催が難しい場合がありました。

一方、8月の開催ですと、お盆の時期で新成人の皆さんが帰省しやすい時期であることと、8月15日の終戦の日にあたり、あらためて命の大切さ、平和の大切さ、国のあり方などを考える良い機会になることで、本日の開催になりました。

今年の対象者数は154人で、そのうち71%にあたる、110名の方に参加いただきました。     

               

皆さんは今日の成人式を迎えてどのような心境でしょうか。

成人式を迎えられた皆様の中にはすでに社会に出て働かれておられる方、学生の方、働きながら勉強をされておられる方がおられます。

また、坂城の中で家業を継がれておられる方、遠く坂城を出て活躍されておられる方々などいろいろな立場で本日おいでになっておられると思います。

久々に懐かしい方々との旧交を温められ、心躍る感傷に浸っておられる方々も多いかと思いますが、折角の節目でありますので、皆さんが成長されたこの20年間を、お世話になった方々への感謝の念をも抱きながら種々思いをはせていただきたいと思います。

また、今年は坂城町で開催される、第63回目の成人式ですが、戦後73年目の年となりました。

今日は、成人を迎えられたこの機会に、今、この時代にどう生きるかについて考えていただきたいと思います。

皆さん、今年は、明治元年から150年。

明治維新から150年の節目の年です。

もう少し考えていただくと、いろいろありますね。

まず、今年は実質的に、平成最後の年になります。

今までは、今上天皇陛下が崩御されることにともない新たな年号に移られるということでしたが、今上天皇陛下の強いお気持ちで、生前退位という方向になり、皆さんの成人式は平成最後ということに決まりました。

これも歴史の中で皆さんが経験される大きな出来事です。

先ほど、今年が明治維新150周年に当たると申し上げましたが、もう少し細かく見ていきますといろいろ歴史の面白さがあらわれます。

まず、150年を真ん中で切ってみましょう。

真ん中は、75年前、1943年、昭和18年になります。

第二次世界大戦が始まって2年目。

戦争が始まって、当初は戦勝気分で浮かれた2年、後半は悲劇的な敗戦へ向けた2年間です。

明治維新から73年目が1941年、昭和16年で太平洋戦争開始の年です。

戦争に敗戦し終戦してから73年目の年が今年です。

皆さんが成人式を迎えられた年です。

明治維新から欧米に追い付け追い越せで結果的に太平洋戦争に突入し、敗戦をし、戦後の復興をし現在に至るまでに見事に左右対称になった年が今年であります。

その年に皆さんは成人式を迎えられたわけであります。

これを意味あることと、受け取るか、毎日毎日の同じ日々の繰り返しと受け止めるかでは人生にとって大きな意味付けが異なります。

堺屋太一さんという作家をご存知でしょうか。

彼が今から約20年前に、「平成30年」という小説を書きました。

正に、皆さんがお生まれになった、平成10年ころに書かれた小説です。

堺屋太一さんは平成30年が明治維新150年で、戦争を挟んで折り返し点になることを予想して小説を書かれたわけですが、平成30年が平成として最後の年になるとは全く予想をしていなかったと思います。

その小説上では平成30年の日本はなかなか大変な状況で、消費税もすでに20%にあげられ、国力の衰えとともに、対ドルレートは230円というとんでもない状況になっています。現在のほうがまだましの状況でしょうか。

この小説の副題は、「何もしなかった日本」、つまり抜本的な体制改革や体質気質の変更をやらないままに平成30年を迎えてしまったと言うことです。

また、私を含む、多くの団塊の世代の無力感も記述されています。つまり我々はこの戦後、何をしてきたのだろうかと言うことです。

堺屋太一さんが実際に平成30年目を迎えた現在、どのような感慨を持たれておられるかお聞きしたいと思っています。

これからの、20年、30年は皆さんが新しい時代を造っていきます。大いに期待をしたいと思っています。

                

さて、私の大切にしている言葉に「意味のある偶然」という言葉があります。

これは私が使い始めて、いろいろな機会にお話しています。

 人は毎日、毎日いろいろな人と「偶然的出会い」を続けています。

 皆さんの多くは、この坂城町で生まれ、育ちました。

そして、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、あるいはいろいろな職場で毎日、いろいろな人と「偶然的な出会い」を続けています。

 しかしながら、この「偶然」を単なる「偶然」として送りすごすか、自発的な能動的なアクションをとることにより「意味のある偶然」にするかどうかはその人の人生にとって大きく意味合いが違ってきます。

毎日毎日、刻一刻と「偶然的な出会い」が皆さんの前に訪れます。

これからの人生にとって、この「偶然的な出会い」を「意味のある出会い」にするよう心がけていただければと思います。

               

いくつか関連したお話をします。

まず、皆さんよくご存知の、日野原重明さんが、昨年105歳でお亡くなりになりました。

日野原先生は100歳を越えても現役の医者として活躍し、たくさんの本をお書きになったり、ミュージカルの脚本をお書きになったりしていました。

日野原さんは生前「命」について、いろいろな講演会、著書で述べられていました。

それは、「命」とは何かです。

日野原先生は常に、「皆さん、皆さんの命は見えますか。」という問いかけをされます。

命は見えません。「命」とは皆さんの持っている「時間」のことだというのですね。死んでしまったら自分で使える時間もなくなってしまわけです。

したがって、一度しかない自分の時間、命をどのように使うかしっかり考えながら生きていってほしい。

さらに言えば、その命を今度は自分以外の何かのために使うことを学んでほしい。ということです。

さきほど、私が申し上げた「意味のある偶然」も含めて、それを意味のある「時間」として使っていただければということですね。

                               

また、私は、毎年、成人式に際して、「命」の大切さについてお話をしています。これは毎年同じ話をしています。

             

さて、皆様方は、ご両親から頂いた「命」の大切さについてどう考えておられるでしょうか。

昨今、毎日のように悲惨なニュース、それも今までは考えられなかったような事件が発生しています。

皆さん、私は「命」は大自然からお借りした大切な「宝物」だと思っています。

皆さんの命は皆さんのご両親が突然作り出したものではありません。皆さんのご両親、ご両親のご両親、どんどん遡れば地球誕生から約46億年、宇宙の起源から考えれば約130億年前から営々と皆様のDNAが脈々と続いてきているわけであります。

大自然からお借りした「命」を立派に、立派に磨き上げ再び大自然にお返ししなくてはならないのです。

仮に、皆さんが友人からゲーム機を借りたとします、これを傷つけたり、ベタベタに汚して返したら皆さんの友人は何と思うでしょう。

借りた時以上に見事に磨き上げピカピカにして返したら皆さんの友人は何と喜ぶことでしょう。皆さんの「命」もこのようにピカピカにして命を全うし、大自然にお返ししなくてはならないのです。

今から73年前、戦時中では成人するということは即、戦場に行くということでありました。敵と戦うということでありました。見も知らぬ人間の命を奪う戦いをせざるを得ないということでもありました。今日、この際にもう一度皆様方各々で皆さんの「命」の大切さについて考えていただきたいと思います。

本日は、皆様で成人式のお祝いをするとともに、世界の平和についても皆様でディスカッションをしていただければと思います。

                   

 以上で平成30年度成人式のお祝いのご挨拶とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

平成30年8月15日 坂城町長 山村弘