キャノングローバル戦略研究所瀬口さんから米国レポート

キャノングローバル戦略研究所の瀬口さんから先月の米国レポートをいただきました。 オバマ政権の弱体化の中、あいかわらず、日本の存在感が低下する一方で困ったものですね。 野田総理のリーダーシップを期待したい。

以下、瀬口さんの出張報告に関するコメントです
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各位

 9月下旬に米国に出張し、外交・安全保障面を中心に日米中関係について意見交換をして参りました。

 今回は野田政権誕生直後というタイミングだったこともあり、新政権の下での日米中関係についての議論が中心となりました。

 ただし、米国のオバマ政権に対する支持率が低下傾向を辿っており、次期大統領選でのオバマ大統領再選に対する悲観的な見方が強まっていたため、選挙への影響が小さい日米関係の懸案事項に対する関心は薄くその早期解決策にすぐに着手することが重視されている雰囲気は感じられませんでした。

 専門家の方々も米中両国とも次期政権の政策方針を見通しづらい状況の下で、普天間基地移設問題、米中間の懸案事項等米国のスタンスにかかわる問題は予測しにくいと見ています。

 そうした状況下において、日本に対しては、米中両国および世界に向けて、より明確な外交方針を示すことが期待されており、今のまま日本が何をしたいのかがわかりにくい状態が続くと、5月の米中戦略対話の時のように日本が全く話題に上らない事態が繰り返されると思われます。

 2013年の春には主要国の元首が交代または再選され、国際政治が新たな局面に入ると見られています。 その時までに、日本も目指すべき国家ビジョン、基本的外交方針、重要施策の優先順位等を明確にしておく必要があると強く感じました。

 最近は米国でも欧州でもバブル崩壊後の経済停滞に直面している状況の下、強力な政治のリーダーシップが欠如しており、政策が後手に回っています。
 これは日本が1990年以降、小泉内閣の時代を除いて辿ってきた道です。

 経済状況については、日本経済は欧米諸国に比べるとバブル崩壊による傷は浅く、   日本企業は比較的優位な経営状態を保持しています。
政治情勢については、旧世代の鳩山・菅両総理が表舞台から退場し、小沢元代表も表舞台に上がりにくい状況が続きそうです。
 これにより民主党の世代交代が進む可能性が高まっていると思われます。

 そうした意味では、日本が他国に先んじて経済も政治も少し雰囲気が変わり、新しい前向きの変化への期待が感じられるようになりつつあると見ることもできます。

 東日本大震災後に多くの人たちが感じ続けている、「今自分にできることは何か」という意識を経済人、政治家、官僚、学者等日本国民全体で共有し、2013年の春が来る前に、日本が一歩前に踏み出すことを期待したいと思います。

 出張報告をご一読の上、ご意見、アドバイス等頂けましたらありがたく存じます。

 キヤノングローバル戦略研究所
 瀬口清之

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以上、キャノングローバル戦略研究所の瀬口清之さんのレポートから。

坂城町長 山村ひろし