本日(8月15日)、坂城町文化センターで、平成27年度坂城町成人式が執り行われました。
以下、お祝いの挨拶を掲載させていただきます。
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平成27年8月15日 成人式>
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皆様こんにちは。坂城町長の山村です。>
新成人の皆様、成人式おめでとうございます。>
また、今日まで暖かい愛情を持ってお子さんを立派に育て上げられたご家族、保護者の皆様に心より、お祝いとお喜びを申し上げます。>
かさねて、本日、ご多用のところ本式典においで頂いた、塚田議会議長殿をはじめ多くのご来賓の皆様に御礼申し上げます。 >
さて、坂城町では成人式を毎年、終戦記念日に開催しています。>
以前は1月の成人の日に開催していたこともありますが、冬、雪の中での開催が難しい場合がありました。>
一方、8月の開催ですと、お盆の時期で新成人の皆さんが帰省しやすい時期であることと、8月15日の終戦の日にあたり、あらためて命の大切さ、平和の大切さ、国のあり方などを考える良い機会になることで、本日の開催になりました。>
今年の対象者数は173名ですが、そのうち約7割にあたる、121名の方に参加いただきました。 >
皆さんは今日の成人式を迎えてどのような心境でしょうか。>
成人式を迎えられた皆様の中にはすでに社会に出て働かれておられる方、学生の方、働きながら勉強をされておられる方がおられます。>
また、坂城の中で家業を継がれておられる方、遠く坂城を出て活躍されておられる方々などいろいろな立場で本日おいでになっておられると思います。>
久々に懐かしい方々との旧交を温められ、心躍る感傷に浸っておられる方々も多いかと思いますが、折角の節目でありますので、皆さんが成長されたこの20年間を、お世話になった方々への感謝の念をも抱きながら種々思いをはせていただきたいと思います。>
また、今年は坂城町で開催される、第60回目の成人式ですが、戦後70年の節目の年ともなりました。>
今日は、成人を迎えられたこの機会に、これからの日本の平和の在り方についても考えていただきたいと思います。>
昨日、安倍総理大臣から、戦後70年に際しての「談話」が発表されました。 どのような内容で話されるか私も関心がありましたが、今回の安倍談話では、戦後50年の村山談話、60年の小泉談話などを念頭に、「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきた」と言及し、その上で「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものである」として、安倍内閣として過去の談話を引き継ぐ考えを示しました。 >
また、「(日本は)進むべき針路を誤り、戦争への道を進んでいった」 とも指摘し、「植民地支配から永遠に決別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓った」などと記し、歴代の首相談話にあった「植民地支配」の文言にも新しい表現も加え話されました。 一方、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とも主張し、「積極的平和主義」あるいは、首相の持論である「未来志向」を強調した内容となっておりました。皆さんはどう思われましたか。>
また、未来志向という意味では、今月3日の信濃毎日新聞に、日本人初の国連職員で国連事務次長も務められた明石康さんの談話が掲載されておりました。>
関連するお話でしたので、この話につきましても若干、ご紹介したいと思います。>
明石さんは、日本がこれからも平和を維持していくためには、内向きに平和を祈るだけでなく、日本の経済力や技術力を活かして世界の安定化にきちんと役割を果たしていくことが必要であるとしています。明石さんはこれを「創る平和」と表現されています。>
つまり、私たちが今日の平和を享受することができるのは、先の大戦における多くの犠牲と過ちを繰り返さないことを誓った先人の努力があったからこそであり、また、先人から受け継いだこの平和を次の世代へと繋いでいかなければならないわけですが、平和を唱えるだけでは、平和は得ることはできないと言っています。>
現在、世界では、至る所で紛争が後を絶ちません。日本には、日本がもつ経済力や独自の技術力を駆使して、紛争の原因である貧困や差別を解消し、地域の安定化を図るという日本ならではの役割を担うことが重要であると言っています。日本を取り巻く国際社会の安定化が、ひいては、日本の平和に繋がるという考えのもと、国際的な支援に積極的に取り組むことが「平和を創る」ということであると言っています。皆さんはどのように考えますか。 新成人の皆さんには、これからの日本を担う一員として、日本が平和主義の理念のもと、国際的に果たすべき役割について、どのような形が望ましいのか関心を持っていただきたいと思います。 >
さて、私は、毎年、成人式に際して、「命」の大切さについてお話をしています。>
皆様方は、ご両親から頂いた「命」の大切さについてどう考えておられるでしょうか。>
昨今、毎日のように悲惨なニュース、それも今までは考えられなかったような事件が発生しています。>
皆さん、私は「命」は大自然からお借りした大切な「宝物」だと思っています。>
皆さんの命は皆さんのご両親が突然作り出したものではありません。皆さんのご両親、ご両親のご両親、どんどん遡れば地球誕生から約46億年、宇宙の起源から考えれば約130億年前から営々と皆様のDNAが脈々と続いてきているわけであります。>
大自然からお借りした「命」を立派に、立派に磨き上げ再び大自然にお返ししなくてはならないのです。>
仮に、皆さんが友人からゲーム機を借りたとします、これを傷つけたり、べたべたに汚して返したら皆さんの友人は何と思うでしょう。>
借りた時以上に見事に磨き上げピカピカにして返したら皆さんの友人は何と喜ぶことでしょう。皆さんの「命」もこのようにピカピカにして命を全うし、大自然にお返ししなくてはならないのです。>
今から70年前、戦時中では成人するということは即、戦場に行くということでありました。敵と戦うということでありました。見も知らぬ人間の命を奪う戦いをせざるを得ないということでもありました。今日、この際にもう一度皆様方各々で皆さんの「命」の大切さについて考えていただきたいと思います。 >
先日、坂城町に在住のある方から、戦時中、上田中学を卒業し、海軍の予科練習生となり、昭和19年にフィリピン・レイテ沖で特攻隊員として戦死をされた滝澤光雄さんのお話を伺いました。>
滝澤さんのお宅は今も南条鼠にある国道沿いに「明治天皇御小休み所」と書かれた碑のあるお宅です。>
大変優秀な方であったそうですが、何よりも家族を、国を守らんという強い意志で、予科練を希望されたということです。>
この滝澤さんの辞世の歌に、「蕾にて散るも又よし桜木の 根のたゆことなきを思へは」があります。>
皆さんはこの歌を聴いてどのように思われるでしょうか。>
戦後、昭和21年に、滝澤光雄さんの同級生が、「土筆」という同窓誌を出されたのですが、その中で、滝澤光雄さんのお母様が以下のようなお言葉を寄せられています。>
「光雄君の母より諸君に告ぐ。(一部抜粋します)>
―現在の状態では光雄のやうに戦死した者が一番馬鹿らしく思われるが、きっと将来に日本国民の気持、精神を統一するには特攻隊員や戦死された人々の心を心として起き上がらなくてはならない時が来ます。その時こそ光雄たちの精神が咲くのです。何時までも蕾でなくきっと咲きます。―>
さあ、皆さんはこのお母さんの話をどのように思われますか。よく考えていただければと思います。>
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本日は、皆様で成人式のお祝いをするとともに、世界の平和についても皆様でディスカッションをしていただければと思います。 >
以上で平成27年度成人式のお祝いのご挨拶とさせていただきます。>
ご清聴ありがとうございました。>
平成27年8月15日 坂城町長 山村弘
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また、以下、坂城町ニュースもご覧下さい。
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第60回坂城町成人式
▲記念式典
8月15日(土)、文化センターで、第60回坂城町成人式が開催されました。坂城町の成人式は、1月の「成人の日」ではなく、毎年8月15日に開催するのが通例となっています。町の今年の成人者は、平成6年4月2日から平成7年4月1日までに生まれた173名(うち、坂城中学校卒業者が155名)で、本日はそのうち121名が参加し、会場のあちらこちらで久しぶりの再会を喜ぶ姿が見られました。
記念式典は、厳粛な雰囲気のなか行われ、臼田康一郎さんと柳澤美穂さんが成人を迎えての抱負をあいさつされました。臼田さんは、「今までの人生で、多くの支えがあったおかげで今の自分があります。支えてくれた方に感謝して、これからは自分が人を支えられるように、そしてあらゆることに全力で取組み、自覚と責任をもって進んでいきたいです」と、柳澤さんは、「周りの人への感謝の気持ちを忘れずに、これからは恩返しをしていき、また、長野県出身で宇宙飛行士になる夢を叶えた油井亀美也さんのように、自分も夢に向かって努力していきたいです」と語られました。
その後に行われた、新成人からなる成人式実行委員の皆さんによる「成人祭」では、中学時代の恩師の皆さんから一言ずつお祝いの言葉をいただいたり、レクリエーションが行われ、とても盛り上がっていました。
新成人の皆さん、成人おめでとうございます!
▼成人祭
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坂城町長 山村ひろし