「モンゴル大草原遊牧誌」や「紅衛兵の時代」など日本でも高名の中国を代表する作家、張承志氏の近著「中国と日本」(批判の刃を己に)が日本で発売されました。(2015年9月)
・張承志氏について、ウィキペディアから。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B5%E6%89%BF%E5%BF%97
以前から、同氏の著作の監訳・編訳をされている梅村担氏(中央大学教授)が、私の高校の同級生ということもあり、また、今回も監訳をされたということもあり早速拝読しました。
相変わらず鋭い切り口で中国人の立場から最近の日本を細かく分析し、明治以来の日本の代表的な人物約30名をとりあげ論評しています。
勿論、日本人として異論ありと多く感じるところもありますが、同様に中国の問題についても鋭い調子でコメントをしています。 それは副題にもあるように 「批判の刃を己に」 と言うとおりです。
よくこのような著作を中国で出版(2009年)することが出来たなという感もあります。
この著作を通して新たに日本と中国の近代・現代の関係を考え直す良い機会になると思います。
また、著者と長年家族ぐるみで交流のあった、岡林信康氏との関係も大変興味ありました。
この著書のおかげで、岡林信彦氏の 「御歌囃子参上!!岡林信康エンヤトットミュージック 」 もあらためて聴く機会ができましたし、魯迅との関係で引用されていた、太宰治の 「惜別」 も読みなおす機会を得ました。
なお、この本の帯に書かれているメッセージをご紹介すると、
「中国人作家が発掘する日本精神のゆくえと人道のかたち」
「私たちは、ナショナリズムを超えて人として手を結びあうことができないのか。」となっています。
戦後、70年の今年、このような著作が中国の代表的な作家により紹介されたことの意義もあると思います。 是非、ご一読を進めます。
坂城町長 山村ひろし