昨日(1月28日)、一橋大学の野中郁次郎名誉教授からお招きがあり、昨年に引き続き、六本木ヒルズで開催された第2回トポス会議に出席しました。 (午後1時から8時半まで)
トポスとはギリシャ語で「場」と言うことなのですが、いわば「知的対話の場」であります。
本会議は、近年、全く発言力を失った日本の中で、世界的な「知」のリーダーを招き未来に向けた大きなメッセージを発信しようと、野中さんを創始者として結成された W3i(ワールド・ワイズ・ウェブ・イニシャティブ)が主催して開催されたものです。(後援: 富士通総研)
今回は第2回として『ソーシャル・イノベーションと21世紀の資本主義』(~コミュニティー・デザインが企業と社会の未来を拓くー)という大きなテーマで世界各国の代表的な有識者を招き熱い議論がなされました。
(会議のプログラム)
http://jp.fujitsu.com/group/fri/events/other/w3i-topos02.html
講演者、パネリストは以下の通り。(ビデオ・メッセージでの参加者含む)
いずれも、錚々たる人たちばかりです。
セッション1.(資本主義の未来、そして企業の目的を問う)
岩井克人 (東京大学名誉教授)
ウルフギャング・ムナール (ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団)
福原賢一(ベネッセホールディング副社長)
ムハマド・ユヌス (グラミン銀行創設者/2006年ノーベル平和賞受賞者)
セッション2.(ソーシャル・イノベーションで「コミュニティー」をリ・デザインする」
モム・ラーチャウォン・ディッサナッダー・デッサクン(クンチャイ殿下) (タイ王室メー・ファー・ルアン財団 事務総長)
内藤晴夫(エーザイ株式会社 代表執行役社長兼CEO)
ファザル・ハッサン・アベド (バングラデシュ農村向上委員会創設者)
アンドリュー・モーソン (英国ブロムリー・バイ・ボウ・センター創設者)
エドアルド・ベルトラン・デ・ナンクラレス (モンドラゴン協同組合)
セッション3.「ソーシャル・イノベーションの”イネブラー”としてのテクノロジー」
バリー・ケイツ(スタンフォード大学コンサルティング教授/IDEOフェロー)
イベ・テン・カテ(オランダ水利管理局フューチャーセンター)
黒川 清(東京大学名誉教授)
石田秀輝(東北大学大学院環境科学研究科教授)
総括 野中郁次郎(一橋大学名誉教授/w3i 発起人)
コーディネーター:紺野 登(多摩大学教授)、 武部恭枝(プライム・コーポレーション代表)
膨大な議論がなされ、全体の総括は誠に難しいものがありますが、冒頭の岩井克人先生の話で は、『ポスト資本主義ではなく、全く新しい資本主義が求められている。そこには、「倫理の再登場」が必要である。また、そこでは「信任社会」という考え方が重要である』というよな議論が提起されるなど非常に重いディスカションがなされました。
この会議には同日、スイスのダボス会議から帰国したばかりの黒川清先生も参加され、ダボス会議での様子なども話されておられました。
黒川先生とは会議後しばらくお話をさせていただきましたが、いま、正に必要なのは「坂城町など地方の自治体から始まる国づくりである」ということでありました。
また、野中先生の総括では、「今、正に求められているのは自立した人間の自由の追求だけでなく『共通善』(Common Good)を追求することであり、公、共とのco-creation、コミュニティーとの関係をどうとらえるかということが重要となっている。そのためには、身体性を伴う実践(Practical Wisdom)が必要であり、行動をはじめなくてはならない。Common Good に必要なのは「勇気」である。と結論してます。
この会議に参加したすべてのパネリストはすでに、世界中で体を張って実践してこられた方ばかりであり大変勇気づけられました。
黒川 清(東京大学名誉教授)(ダボス会議での写真)
タイのクンチャイ殿下と(正式にはモム・ラーチャオン・ディッサナダー・デッサクンさん)
クンチャイ殿下はドイトン・プロジェクトで貧困の撲滅運動に大きな尽力をされた方ですが、私が以前経営をしていた米国のビジネススクールJAIMSの理事もされています。
スタンフォード大学のバリー・ケイツ教授(技術コンサル会社IDEOの創始者)
バリー・ケイツ先生とは10年ぶりの再会。
今回のホスト役 富士通の山本正己社長と
坂城町長 山村ひろし