一般的に老子は前半の「道経」(第1章から37章まで)と「徳経」(第38章から第81章まで)に分かれています。 しかしながら、1973年に発見された馬王堆帛書老子道徳経二種では、「道経」と「徳経」の順序が逆になっています。 いずれにしましても、前半最後の章です。
道常無爲、而無不爲。侯王若能守、萬物將自化。化而欲作、吾將鎭之以無名之朴。無名之朴、亦將不欲。不欲以靜、天下將自定。
道は常に無為なれども、而(しか)も為さざる無し。 侯王(こうおう)若(も)し能(よ)く守らば、萬物將(まさ)に自ら化せんとす。 化して欲作(おこ)らば、吾將に之を鎮むるに無名の朴(ぼく)を以(も)ってせんとす。 無名の朴もてせば、亦(また)將に欲(ほっ)せざらん。 欲(ほっ)せず以って静かなれば、天下将に自ら定まらんとす。
道は常にさかしらな行いをさけ常に無為の状態にありますが、それでいてすべてのことを成し遂げているのです。 諸侯や王がこれを守って政治を行えばすべてのものが自然に自ら成長を遂げることができます。 もし、この状況の中で何ものかが欲を持ち始めたなら、私ならば無名の朴(あらき)のようなものを用いて対応しこれを鎮めます。 無名の朴ならば再び欲を持つことはないからです。 このように欲の無い静かな状態となれば天下は自然とおさまっていきます。
「而無不爲」、無爲にして爲さざるなし、という言葉はすごいですね。 さかしらに、人為的なことを行ってはならないということです。 「無為自然」の大切さ、じっと見守ることも大切です。 あまり「人為」を行えば、それは「偽」となります。
坂城町長 山村ひろし