昨日(11月18日)、午後、六本木ヒルズで第9回TOPOS会議が開催され、全国町村長会議の後に参加しました。
このTOPOS会議は野中郁次郎一橋大学名誉教授が発起人となって始められた、世界的な錚々たる賢者を集めて年2回開催される「知の場」(TOPOS)です。
今回のテーマは 「都市のイノベーション」― 21世紀における都市の賢さを求めて ― です。
なかなか難しいテーマでしたが大変参考になりまいた。
主催者の開催主旨は以下の通りです。
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第9回トポス会議
2015年6月、グーグルは、都市イノベーションを専門とする「サイドウォーク・ラボ」、世界中の都市とそこに住む市民たちを結びつける「インターセクション」という、2つの新ビジネスを立ち上げた。
ラリー・ペイジいわく、「都市を改善することによって、何十億人という人々の生活を向上させられる」。彼らは、元ニューヨーク副市長のダニエル・ドクトロフをリーダーに迎え、まずニューヨーク市のイノベーションに取り組むという意気込みを見せている。
アメリカの市民活動家ジェイン・ジェイコブズは、経済の発展を先導するのは国家ではなく「都市」であると訴えた。それは、都市の持っている多様性こそ、需要の創出、新しい製品やサービスの開発、雇用の創造の源泉だからである。こうした「都市の生み出す力」(いわゆる「ジェイコブズ効果」)を引き出すには、行政によるトップダウンよりも、市民やコミュニティによるボトムアップが望ましい。
このようなチャレンジは、知の多様性とソーシャル・キャピタル(社会関係資本)をテコに、まさしくボトムアップによって都市イノベーションを起こそうという試みである。言い換えれば、市民中心、そして市民参加の都市イノベーションを志向している。
この都市イノベーションは、日本にとっても大きな課題である。実際、さまざまな学術機関やプロフェッショナル・サービス会社が、都市イノベーションに関するランキングを発表しているが、日本の都市はそのほとんどすべてにおいてトップ10に入っていない。とはいえ、こうした厳しい現実は、裏返せば、伸びしろの大きさを示している。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関する一連の騒動によってあぶり出されたように、日本の各主要都市には、リ・デザインとイノベーションが求められている。しかし、我々はこれまで、都市デザインをお上任せにしてきてしまった。今後は、グーグルが先覚したように、企業と市民の共創が不可欠である。そして行政には、こうした新しい協力関係を促す施策や行動が望まれる。
第9回トポス会議では、こうした問題意識の下、都市社会学を研究するコロンビア大学教授のサスキア・サッセン氏、「エッジ・シティ」という概念を提唱したアリゾナ州立大学教授のジョエル・ガロー氏、「リビング・ラボ」の推進者の一人である欧州委員会のブロール・サルメリン氏を招聘し、東急電鉄社長の野本弘文氏、日建設計副社長の中分毅氏、京都の老舗企業細尾社長の細尾真生氏らと共に、日本の都市イノベーションのあり方について議論する。
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プログラム:
モデレーター:羽田未蘭野、紺野登
トポス1:≪グローバル都市と経済≫
ジョエル・ガロー、中分毅、サスキア・サッセン
トポス2:≪都市のオープン・イノベーション≫
ブロール・サルメリン、デヴィッド・ハーヴェイ、福田紀彦、サスキア・サッセン
トポス3:≪企業の都市イノベーション≫
野本弘文、細尾真生、ジョエル・ガロー
総括:野中郁次郎
今回の講演者は以下の錚々たる方々でした。(アルファベット順)
ジョエル・ガロー |
アリゾナ州立大学 法学部 リンカーン講座教授 |
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細尾 真生 |
株式会社細尾 |
中分 毅 |
株式会社日建設計 |
野本 弘文 |
東京急行電鉄株式会社 |
ブロール・サルメリン |
欧州委員会 |
サスキア・サッセン |
コロンビア大学 社会学部 |
福田 紀彦 【ビデオ】 |
川崎市 |
デイヴィッド・ハーヴェイ 【ビデオ】 |
地理学者 ニューヨーク市立大学大学院 |
コーディネーター/総括
羽田 未蘭野 |
キャスター |
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紺野 登 |
多摩大学大学院教授 |
野中 郁次郎 |
一橋大学名誉教授 |
講演者の数名の方々とお話をしましたが、「都市のオープン・イノベーション」で話をされた、ブロール・サルメリンさん(欧州委員会イノベーション担当アドバイザー)の言われる 「Open Innovation 2.0」 について大変感銘を受けました。坂城町で取り組んでいる、「モノ」から「コト」へも同じような構想です。 (工業社会:「モノの時代」→知識社会:「コトの時代」)
また、細尾真生さん (1688年創業の京都の(株)細尾代表) はとにかく元気な方で、古典的な西陣織を海外に広める活動を積極的に行われています。 坂城町での講演をお願いすることにしました。
野中先生の総括:
創造都市は知識社会が建設するものであり、ナレッジのソース(源泉)である。 デカルト的な都市プランニングではなく、よりボトムアップ、ハートによる町づくりが根本であり、真善美を追及するもので、Art & Science でありマネジメントと同じである。 Common Goods(共通善)を求め、かつ現実を直感しながら進めなければならない。 リーダーシップ力が求められる。
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坂城町長 山村ひろし