平成23年第2回(6月)坂城町議会定例会招集ご挨拶と所信表明(後半)

次に「人の輝く町」でございます。

「人創りによるまちづくり」が重要と考えております。私は、長年民間在任中から教育問題にかかわりを持ってまいりました。町長選に立候補を決意した大きな要因でもあります。家庭内教育、小中の義務教育の大切さは当然でありますが、高校、大学、そして社会教育、生涯学習を通した地域の教育力の向上こそが、坂城町を変え、日本を変えてゆく大きな力になります。

江戸末期に大変大きな影響力のあった佐藤一斎の言志四録にあるように「少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず。」であります。人間が学びを続ければ一生それぞれの立場で必ず開花するということであり、学びの大切さをこれほど端的に示したものはございません。学びを通して、地方自治が元気に、日本が元気になる第一歩を坂城町が歩みたいと願うものです。

世界はグローバルに展開しています。今回の震災における、世界の自動車産業の在り様が如実に示しています。町内企業の多くが世界に目を向けています。教育においても今年度から小学5年、6年の英語学習が必須となりました。英語が世界の広い範囲で使われ、共通語とまで言われているのが現状です。すでに2か月が過ぎましたが、いかがでしょうか。

6月補正で額は少ないですが、信州大学の教授による授業サポート、大学生と小学生の交流事業などを通じ、英語が楽しいと感じてもらえるよう努めてまいります。楽しい授業を受けられるかどうかの最大の課題は教員であることは、どなたも思うことです。小学校の教諭が自信を持って児童に接することが、英語学習を充実させるものですので、小学校の先生を対象とした英語教室、ゼミを開催する経費を計上いたしました。

「働く力・生きる力」の育成が求められます。学校教育と企業・社会人教育は密接な関係があります。今回テクノセンターの事業に対し「住民生活に光を注ぐ交付金」を活用し、小中学生・坂城高校のものづくり授業の充実や次世代経営者育成等に努めてまいりたいと思います。学校が、閉ざされた世界でなく、実質的に地域に根差し、愛される存在になるよう教育委員会の協力を得て、進めてまいりたいと考えます。

次に 「笑顔の町」 ハンディのある方にとっても“優しいまちづくり”を進めてまいりたいと思います。

子育ては「家庭の課題」であるとともに「地域の課題」にもなっていると感じます。子育てに関する悩みにつきましても、より気軽に相談していただけるよう、それぞれの保育園を子育て支援センターの分室と考え、各園長を中心に相談に対応する体制をとるようにいたしました。また、6月から毎週火曜日に子育て支援センターで実施しております家庭児童相談員による相談を各園で月1回は巡回で開催できるよう組み換えをいたしました。

さらに、今回の補正に組み入れましたが、家庭児童相談員に加えて、臨床心理士を配置し、子育て支援センター及び各保育園を巡回し、保護者や保育士の相談に応じるなど、子育てにかかる相談機能を充実し、子育てを応援したいと考えます。

次代を担う子供たちのために、子宮頸がんワクチンの接種を4月から中学3年生を対象としましたが、7月から中学2年、1年生にまで拡大いたしました。

公共施設のバリアフリー化が求められています。補助事業を取り入れまして、まず町民の皆様の利用度が高い、町体育館入口をバリアフリーにする改良工事をしたいと考えております。

また、選挙におきまして、私は坂城駅にエレベーターを設置したいと訴えてまいりました。駅前活性化、交通弱者・高齢者支援等の象徴的な課題ではないかと考えます。そうは言いましても、町長になったからといって、いきなり工事ができるわけではありません。しなの鉄道の本社に伺い、エレベーターの設置をお願いしてまいりました。また、駅舎の利用についてもお願いしてまいりました。しなの鉄道の経営状況もございます。補助事業の動向、沿線市町の事業順位、様々な制約もあるところですが、事業化に向けての手法や、利用者である町民の皆さんの協力体制など、取り組んでまいります。  

 次に「誇れる町」芸術・文化の振興でございます。「今年の夏は、坂城が熱い」とでも言いましょうか。8月最後の土曜日27日びんぐしの里公園で薪能が開催されます。実行委員会の皆さんがはりきって、計画を進めており、町といたしましては、教育委員会を窓口に各関係課との連携を図っております。重要無形文化財いわゆる人間国宝の松木千俊(まつき ちとし)さんや狂言師としていろいろな分野に挑戦している野村萬斎(のむら まんさい)さんが出演をいたします。また、町内の小学生も地域の皆さんにご協力をいただき能楽の勉強をし、同じ舞台に立てることに胸を膨らませています。日本の伝統文化を、次世代に継承し、芸術・文化活動振興の一つとして、応援してまいりたいと考えます。  

元気な町にとって、環境は大切な裏付けです。最近の一番の関心事は、福島第一原発の事故を受けて、目に見えない放射能に対する不安が高まっています。国民に安心を伝える責任は、まず国にある。「しっかりしろ日本!」と国民が声を上げています。長野県では、現在、長野市にあります長野県環境保全研究所での観測データーを発表しており、観測地点の拡大を検討されているようです。県民が安心できる状況を願うところであり、町といたしましては、県や広域、近隣市町村とどう歩調を合わせることができるのか、検討してまいりたいと考えます。 

道路環境も大きな問題です。18号バイパス坂城町区間の説明会がありました。今年度の調査をスタートに事業が進められますが、早期完成に向け、議員の皆様、町民の皆様とともに取り組んでまいります。また、町の基幹道路である産業道路整備につきまして、坂都1号線・A01号線整備を進めてまいります。  

下水道は、住民の関心の高い環境問題でもあります。22年度末の普及率は65.4%です。住民の3分の2の方々が利用いただける環境整備ができたといわれます。これは、いまだ3分の1の皆さんが利用できない状況であるということです。本年度は町横尾区、上五明区、網掛区、上平区で面整備、管渠工事等を進めます。未整備地域解消に向け引き続き力を入れてゆきたいと考えます。  

また、県営水道の市町移管問題につきましては、町民が安心できる水の確保は当然のこととして、町が事業運営ができるまでの体制整備が最低条件であり、新たな負担増がないよう、慎重に取り組んでまいります。  

なお、小網地区の上水道整備につきましても、地元区と連携をとり、効率的な事業執行ができますよう、県と調整をしてまいります。  

ごみ処理問題は、人間生活と切っても切れない問題です。今、私たちにできることとして、ごみ減量化に取り組みましょう。22年度の可燃ごみは前年比約170トン 6%の減となりました。私は、こういった問題も“地域の教育力”の表れと考えます。次代に私たち大人の伝えるべきことの一つではないでしょうか。「まぜればゴミ わければ資源」更なる減量化に町民の皆様のご協力をお願いいたします。  

次に、防災につきましては、今回の災害をみるにつけ、消防団の若い力がいかに地域を支えているかを再確認いたしました。消防団員の皆さん頑張ってください。地域の皆さんがきっと応援してくれるはずです。町として、皆さんの活動しやすい基盤整備に努めます。 今回の補正に第3分団消防コミュニティー建設を計上いたしました。場所は、町横尾・入横尾・泉の3区から要望のありました、泉区内の町有地に予定しております。また、一級河川谷川(やがわ)に面することを考慮し、水防にかかる資機材倉庫も併設してまいります。  

町有線放送電話につきましては、施設更新後16年が経過いたしました。災害発生時の情報通信のあり方が重要視されます。無線通信も視野に入れ、これからの整備の方向性の検討を行う組織を職員の中に再編させ、検討をしてまいります。

以上 私の町政運営の目指す所信を述べさせていただきました。

今議会でご審議をお願いいたしますのは、人事案件1件、協定の締結1件、条例の一部改正1件、一般会計補正予算1件でございます。

なお、私が選挙で、町民の皆さんにお約束した「町長の報酬減額」につきましては、議会最終日に、「町長の給与の特例に関する条例」をご審議いただくべく準備を進めておりますので、よろしくご審議を賜りますようお願い申し上げ、所信表明、招集のごあいさつといたします。

なお、本日、提案されました議案と発委の項目だけ示しますと以下のとおりです。

議案第31号 坂城町固定資産評価員の選任につき同意を求めることについて(宮下副町長が選任されました)

発委第1号 「東日本大震災」及び「長野県北部地震」に対する被災者支援並びに坂城町災害対策の推進に関する決議について(満場一致で決議されました)

以下、第32号、33号、34号につきましては20日以降の一般質問等で審議されます。

議案第32号 上田地域定住自立圏形成に関する協定の締結について

議案第33号 坂城町税条例の一部を改正する条例について

議案第34号 平成23年度坂城町一般会計補正予算(第1号)について

以上。 坂城町長 山村ひろし

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