先日、貞方陸奥子様から男谷燕斎の書を坂城町にご寄贈いただきました。
誠にありがとうございました。(右の書)
(男谷燕斎については今までにも何回か記述してきました。ブログ右下の四角いボックスに 男谷燕斎 と記入して検索してみてください。)
左の書は以前にもご紹介した燕斎の書で、中島英雄様から昭和58年に旧格致学校移設の際に坂城町にご寄贈いただいたものです。
両書は同文の詩で、北宋時代蘇軾の門人(蘇門四学士の1人)「張耒」(ちょうらい 1054年―1114年) の詩です。
「漱井消午醉 掃花坐晩涼 衆緑結夏帷 老紅駐春妝」
(井の水で午酔を漱ぎ、花を掃き、夕の涼に座し、夏の帳(とばり)から庭を眺むればそこには老紅木がいまだ春のよそおいをとどめ、静かに佇んでいる。)
素晴らしい詩ですね。男谷燕斎はこの詩を好んで書いたようです。
左の書は、男谷燕斎が坂城の中之条の代官として在職中に書いたものと想定され、また、襖の桟の後があったりします。 かなり酩酊して襖に書いたものと思われます。(40歳前後に書かれたものでしょう。)
「結」という字を書き忘れ、小さな字で「結 入・・・」と書き加えています。面白いですね。
一方、右の書は軸裏に天保7年(1836年)3月の記述があり、男谷燕斎が59歳の時の書と特定できます。 素晴らしく枯れた、しっかりした書体です。
また、燕斎老人との銘があります。
軸裏に「大納言様書御師範旗本男谷 男谷彦四郎之書」とあり、この大納言も尾張藩第10代藩主徳川斉朝と特定できました。
中島英雄氏寄贈 貞方陸奥子氏寄贈
今回ご寄贈いただいた書によって、新たな男谷燕斎の側面があらわれてきました。
ありがとうございました。
これからも男谷燕斎についていろいろご紹介したいと思っています。
坂城町長 山村ひろし