registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
DOCOMOMOとは、1988年に設立された近代建築の記録と保存を目的とする国際学術組織です。元は、オランダに設置されましたが、2002年からはパリに本部をおいています。(International Working Party for Documentation and Conservation of biuldings, sites and neighborhoods of the Modern Movement)
2000年には、日本に支部が置かれ、毎年、「日本の近代建築20選」(DOCOMOMO 20 JAPAN)を選定しています。
現在、累計で「290選」が選定されています。
2023年度には、DOCOMOMO JAPANと日本建築学会により、10件の新規認定と1件の追加選定が行われましたが、このなかで、282件目として、坂城町の文化センター体育館が選定されました。
まことに素晴らしいことです。 文化センターは1970年に設立され今年で54年目になりますが、一昨年度、耐震工事並びに大規模改修工事を行い見事に新しく蘇りました。 また、文化センター本体も昨年度、耐震工事と大規模改修工事を行い、これも見事に生まれ変わりました。 文化センターは、先月(6月28日)に、竣工式を行い、今週から皆様にお使いいただいております。
以下、DOCOMOMOの発表文です。 貴重な建築物を大切に保存し使うことの大切さを改めて感じています。 その意味でも、今回、選定されたことに心から感謝と喜びを感じます。
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282 坂城町文化センター体育館(現:坂城町体育館)
- 滝澤健児 ※滝澤建築設計事務所(滝澤・吉田建築事務所)
- 田中弥壽雄(構造設計)、 中信建設株式会社(施工)
- 中央にRC造のA型柱を建てキール状の大梁で結び、そこを頂点として長手方向に5列の山と4列の谷を構成するように鉄骨トラスを架けた構造が特徴的で、側面の三角形のルーバーはガラス窓への影をつくる立体的なファサードの表情を魅せる。吉阪隆正+U研究室創設メンバーとして中心的な役割を果たした千曲市出身の滝澤健児が設計した。滝澤は、地元の長野県の東北信地域に独自の構造計画でダイナミックな空間構成が特徴といえる多数の公共施設と民間建築を手掛けた。その架構を可能にした構造設計は、内藤多仲のもとで東京タワーなどに携わった同門の田中弥壽雄であった。体育館は滝澤と田中が手掛けた東北信の戦後景観の一部であるローカルなモダニズム建築群の代表的な一例だ。坂城町は、千曲川沿いに広がる町と別に山手側にこの体育館を中心施設とした文化センターを構想し、福祉センター(公民館)とグラウンドを含めた環境整備を進めた。吉阪および滝澤自身が実践的に提案してきた設計思想〈不連続統一体〉を引き継いだ、それぞれの規模・用途に相応しい造形を繋ぐ水平デッキは失われたが、体育館は坂城町としても使い続けていくためにオリジナルを損なわない耐震補強・大規模改修工事を近年行ったばかりで、今後の更なる利用が期待される。
- 1970
- 長野県埴科郡坂城町
坂城町長 山村ひろし