私の学生時代からの友人で、現在、俳人として活躍しておられる、朝吹英和さんの新刊本が出ました。
「蝉時雨」というエッセイ集です。
朝吹英和著「蝉時雨」 出版:ふらんす堂
朝吹家の嫡男として幅広いジャンルに関心を持ち、大きな宇宙観を持った壮大な構想ならびに音楽と俳句のコラボレーションが素晴らしい世界観を描き出した作品が多いのですが、今回のエッセイ集でも彼の本領が随所に発揮されています。
今回のエッセイ集では、「子供の頃の思い出」、「交遊録」、「酒にまつわる話」、「音楽との出会い」、「数々の句会の様子」などなど軽妙洒脱ではありますが、深い内容の話題に満ちています。
私に関する話題もありました。
著者の了解は得ておりませんが、その部分を一部紹介します。
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『句親会』
学生時代の友人Yから「俳句と親しむ会」を企画したいので、相談に乗って欲しいとの依頼を受けたのは平成21年の春のことであった。Yはクラッシク音楽が好きでアマチュア合唱団のメンバーでもあるが、永年に亘って企業に於ける社員教育に従事してきたこともあって幅広い人脈の持ち主であり勉強家である。
退職後は老子についての輪読会を数年に亘って継続するなど多彩な活動を展開していた。そして、苦心して俳句を作る、句に親しむところから「句親会」と命名された句会がスタートした。メンバーは彼の奥様や友人の皆様でほぼ同世代での構成となった。
平成21年7月から22年春まで開催し、その成果を「句集」としてまとめた。その後、Yが長野県坂城町の町長に就任したこともあって、句会は一時休止したが、随時ネット句会を開催したり、「居酒屋研究会」と称しての懇親会を続けている。Yの俳号である「無為」は老子の言葉「無為自然」に由来する。
空高く風吹き抜ける稲穂かな(征之)
かの窓に金木犀の花の散る(真二)
焼け残る蘇鉄の幹に蝉一匹(庸一)
茄子漬けて厨の夜は定まりぬ(恵子)
グレゴリアン遠き響きに夏過ぎぬ(無為)
父ねむる里は林檎の香に満ちて(英子)
秋の蝶献花の列を横切れり(英和)
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坂城町長 山村ひろし