この章は私の大好きな、というより大切にしたい章です。 つまり老子の説く最高の統治者の姿を描いているからです。
太上下知有之、其次親之譽之、其次畏之、其次侮之。信不足焉。猶兮其貴言。功成事遂、百姓皆謂我自然。
太上は下之れ有るを知るのみ。其の次は親しみ之を譽(ほ)む。 其の次は之を畏(おそ)れ、其の次は之を侮る。 信足らざればなり。 猶(いう)として其れ言を貴(たっと)べ。功成り事遂げて、百姓、皆我れ自ら然りと謂(おも)へり。
最も優れた君主というものは、人民からとってみると、ただその存在を知っている程度の状態なのです。その次に優れているのはと言えば、人民に親しみを覚えられている状態です。それ以下の状態はと言えば、人民が君主をおそれている状態です。それ以下の状態はと言えば人民が君主を馬鹿にしている状態です。このような状態になってしまうのは誠実さが足りないからです。つまり口先だけの政治を行ってはならず、一言一言を大切にして真摯に政(まつりごと)を行わなくてはなりません。ものごとがうまく成就しても人民が「あれは自然にうまくいったのだ」と思えるほどでなければならないのです。
リーダーというものは、部下の見えないところで気配りをし、種々手配をし、成果が出ても、それは部下が自分でやったのだと思わせるようなリーダーでなければならないのだと言っています。 なかなか難しいですね。
坂城町長 山村ひろし