この章も非常に重要な節だと思います。 正に、「無爲にして爲さざる無し」 について述べています。
爲學日益、爲道日損。 之又損、以至於無爲。 爲而無不爲。 天下常以無事。 其有事、不足以取天下。
學を爲(な)せば日々に益(ま)し、道を爲せば日々に損(そん)す。 之を損し又(ま)た損し、以(も)って無爲(むい)に至る。 無爲にして爲さざる無し。 天下を取るは常に無事を以ってす。 其の有事に及びては、以って天下を取るに足らず。
いわゆる知識というものは勉強すればするほど増えていきますが、道を学べば学ぶほどその知識がそがれ、日に日に減り続け、無為の状態になります。このさかしらな知識の無い無為の状態になれば何事でもすべてやり遂げられる状態になるのです。 天下を治めることが出来るのはこの仕掛けの無い状態にたどり着くことができるからであって、ことさらに何事かを仕掛けようとするとかえって天下は取れないものなのです。
この章には、しばしば「忘知」というタイトルが付けられます。
知識は一日一日、増えていっても、本質に近づくためにはその「知識」を逆に一枚、一枚、剥がして行かなければならない。 そうしなければ神髄にたどり着くことが出来ない、ということですね。
坂城町長 山村ひろし