今月の初めに、キャノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之さんが 「日本人が中国を嫌いになれない これだけの理由」 という本を出版されました。
「日本人が中国を嫌いになれない これだけの理由」 (日経BP社)
表紙の帯の田原総一朗さんの写真とともに見ると、とても奇抜なタイトルだというような感想をもたれるかもしれませんが、瀬口さんが日銀入行以来のライフワークである中国問題についての体系的な非常にわかりやすい目から鱗のような素晴らしい本です。
瀬口さんには私が杉並師範館時代に大変お世話になりましたが、日本銀行出身で、現在、世界を代表する中国問題の第一人者です。
瀬口さんは今でも、毎年、中国を年4回(2週間づつ)、また、米国には年3回(2週間づつ)訪問・調査をされ自分の足で各国の要人と会い情報交換をされています。
日米両国を通して、中国語で中国要人と渡り合い、ディスカッションのできる経済人は瀬口さんを除いていないと思います。
最近の日中関係は、一時期の最悪の状況から少しづつ調整段階に入りつつあるような感じがいたしますが、瀬口さんの渾身の近著、必読に値すると思います。
1ページ目の「まえがき」から瀬口さんの熱いメッセージ、迫力、素晴らしさ、が溢れています。
著者の了解は得ておりませんが、タイトルだけを見ても大変分かりやすいので、以下、目次をそのまま紹介します。
第1章:日本企業の中国離れが進んでいるというのは本当か?(本格的に離陸した中国市場、ビジネスの本番はこれから始まる)
第2章:なぜ中国のインフラ整備は途方もなく巨大化するのか?(3ヶ月、中国を離れたら中国を語ってはならない)
第3章:なぜ多くの日本人が中国経済を理解できないのか?(地域間格差の激しい中国を一つの国と見てはならない)
第4章:リーマンショックの前後で中国に何が起きたのか?(2004年以前の中国と2010年以降の中国は別の国)
第5章:中国の高度成長はいつ終わるのか?(内需拡大を支えるメカニズムを解明しよう)
第6章:なぜ日本企業ばかりで大規模ストが起きたのか?(労使トラブルを未然に防ぐ4つのポイント)
第7章:賃金上昇は日本企業にネガティブか?(リッチになった中国市場は日本に有利)
第8章:中国市場で日本企業の競争力が高いのはなぜか?( ”チャイナノミクス” こそ日本の成長戦略)
第9章:なぜ日本企業は中国進出に失敗するのか?(社長のリーダーシップこそ成功への最短距離)
第10章:習近平政権は本当に中国の社会矛盾を解決できるのか?(中国の高度成長は2020年前後に終わる)
第11章:中国が日本に戦争を仕掛ける可能性はあるのか?(かつての日本が示唆する中国暴走、最悪のシナリオ)
第12章:日本と中国は真の共創関係を築くことができるか?(日中関係の融和を担うのは企業と個人の重層的な交流)
昨年5月に 坂城テクノセンターで講演していただいた際の瀬口清之さん
この年末年始に是非お読みください。
坂城町長 山村ひろし