昨日(10月13日)、千曲市新山の見性寺(住職:田崎俊孝さん)で「年輪年代測定法」に関する講演がありました。
講師は、奈良文化財研究所客員研究員光谷拓実先生と(公財)文化財建造物保存技術協会加藤修治先生
本講演の目的の一つに、見性寺さんで永年保存されている、「天神像」という木像がいつごろ作成されたのかを、この年輪年代測定法で調べようというものです。
「天神像」 台座も入れて40センチ程度
年輪年代測定法というのは、樹木の年輪を使った年代測定法で、誤差のない年代値が得られる素晴らしい手法です。
昨日は、この分野で日本を代表される研究者の奈良文化財研究所光谷拓実先生と(公財)文化財建造物保存技術協会加藤修治先生にお話を伺いました。
とにかく、樹木の年輪パターンさえ取得できればその樹がいつ、どこの場所で伐採されたか、ということがたちどころに判明するそうです。
従って、彫刻でも、建造物でも数年の差で推定できるとのことです。(伐採されてから、製作されるまでの寝かしの期間がその差になります。)
長期の暦年標準パターン(光谷先生の資料から)
上図のように、素材の年輪を暦年標準パターンに当てはめると樹木の種類によっては、紀元前1500年ほどまで遡れるそうです。
光谷先生はこの手法で全国の古建築や仏像など数多く調査され、長野県でも、安楽時八角三重塔、大法寺三重塔などの国宝、重文などの年代測定をされています。
なかでも、国宝安楽時八角三重塔の建築部材からは、1289年の伐採年が明らかになり、日本最古の禅宗様建築として大きく評価されたそうです。
右:光谷拓実先生
右:文化財建造物保存協会、加藤修治先生
加藤先生からは上小地区の古建築物の年輪年代測定結果についてのお話のほか、現在、担当されている姫路城大天守閣修理工事の状況、平城京跡第一次大極殿正殿復原工事の状況などについての説明もありました。
さて、「天神像」についての判定結果ですが、天神像本体の測定は難しかったとのことですが、台座については、1467年以降という結果が出ました。
したがって、この「天神像」は今から約550年前に伐採された樹により作られたものであることが推定されました。
年輪さえ確認できればピタッと製作年が特定できる素晴らしい手法だと思いました。(放射線炭素年代測定法では誤差が数十年から数百年あります。)
光谷先生、加藤先生のますますのご活躍を祈念します。
坂城町長 山村ひろし